一般の方と、研究者双方に対するLifeSeq㈱のダイエット・ナビゲーション

甘やかしダイエット

このレポートは、LifeSeq(株)の研究員が、15年に渡る網羅的遺伝子発現解析(DNAマイクロアレイ解析)に携わった経験をもとに、
PubMed(生物学・医学関係者が最も信頼する世界レベルの生物学・医学関係科学論文データベースの一つ)を調査して書いたものです。
以前の肥満関連研究者に向けて書いたレポート<LifeSeq(株)のダイエット楽ナビ>をベースとして、一般の読者に向けて再構成したものです。

第一章 甘やかしダイエット:ダイエット3原則

甘やかしダイエットの特徴

【1】ゆっくりと体重減少させて、リバウンドの無い持続性あるダイエット習慣へ

【2】無理なく、楽しく行うダイエット

【3】根拠をきちっと理解して納得して行うダイエット

【4】ダイエット3原則(後述)を中心とする

1.前書き

自分を甘やかすから太ってしまい、ダイエットしなければと思う。とすると自分をいじめないとダイエットにならないと思ってしまう。
しかし、<いじめる>をダイエットとイコールにしてはいけません。なぜなら長続きしないからです。

ここで述べる<ダイエット>とは、食事に関与することだけでなく、体重を減らすあるいは増加させない行動の全てを意味します。
目的を<肥満または肥満気味な方>が<体重を減らすあるいは増加させない>ことに特化します。xxxすることはダイエットにも健康にもよいからxxxするとよい、という表現はしません。美容のためのダイエットは対象としません。
目的をぼやかさないようにしたいのです。

ダイエットを<いじめる>と思わないようにするには、
(1)ダイエットすれば、とっても得になることを心から理解すること。
(2)楽しい事とダイエットをリンクさせること
(3)効果的方法を選択して、効果を実感すること

ダイエットを<いじめる>と思わないようにするには、
(1)6か月以上続けられないことはやらない
(2)今までの生活習慣に無かった特別なことはやらない

ここで述べるダイエット法は以下の、<ダイエット3原則>につきます。
(1)これまでの運動量を1.5倍にする。
(2)糖質を半分にする。
(3)生活リズムを一定にする。

これだけです。

<なーんだ当たり前じゃないか>
<それが出来ないから困っているのじゃないか>
という声が聞こえます。しかし、どう考えてもこれしかないのです。

これから書くことは
どう考えても<ダイエット3原則>しかない理由を説明し、信じて実行してもらえるようにすることです。

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<甘やかしダイエット>で主張するダイエット法は<無理のない方法(小さなことを継続する)でゆっくりとした体重減少をうみだし、
習慣化することにより継続させる>ことを特徴としています。極端なカロリー制限や絶食のような過激なダイエット法は短時間で体重減少に成功する場合もあります。このような方法にはそれぞれに根拠はありますが、これらダイエット法は中止するとリバウンドし、過激なダイエットとリバウンドを繰り返すと、最終的にダイエットをあきらめる結果になりがちです。
<甘やかしダイエット>の特徴を理解したうえでお読みになってください。

2.ダイエットへの動機づけ

<自分がどの位置にいるかを把握しましょう。>

世でいう(世界基準)肥満とはBMI 30(obese)以上、肥満気味(pre-obese)というのはBMI 25以上30未満です。普通体重とは18.5以上25未満です。日本では、世界基準に合わせないで、日本人に合わせてBMI 25以上を肥満といっています。
BMIとは 体重(kg)÷〔身長(m)〕2(体重を身長で割ることを2回やる)

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<肥満から普通体重にシフトさせることはとっても得になることをしっかり認識しましょう。>

(1)死亡率が下がる

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最近の権威ある医学雑誌、ランセット(2016年)の報告で、大規模な解析の結果、肥満が死亡率を上昇させることが証明されました。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)30175-1/fulltext
BMIが5kg/m2増すごとに約31%死亡率が上昇した。内訳として心血管系死亡率49%、呼吸器系死亡率38%、癌死亡率19%上昇した。
この危険性は若い人より高齢の人、女性より男性に顕著でした。

(2)生活習慣病になる危険率が下がる

肥満者は糖尿病、高脂血症、高血圧症等の生活習慣病にかかりやすいことが知られています。厚生労働省の調査では肥満者の80%は糖尿病、高脂血症、高血圧症のいずれかにかかっており、少なくとも健常者の5倍の冠動脈疾患発生になる。さらにそれらが重なると、36倍の冠動脈疾患発生になるとしています。
肥満から脱却することが、病気を避ける為にもっとも有効な方法であるということです。

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厚生労働省・糖尿病実態調査(2002)

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厚生労働省関連疾患総合対策研究班の調査より(2001)

(3)癌になる危険性が下がる

肥満を脱却することは多くの癌にかかる危険を低下させることが明らかになって来た。
例えば、

・乳がんリスクが肥満で2.25倍に上昇 国立がん研究センターが発表 (2014)

・がんのリスク要因を調査する世界中のがん専門家のグループである国際がん研究機関(IARC)は2002年に5種類、さらに2016年に8種類を加えて、計13種類の疾患(食道がん 胃噴門部がん-胃がんの一種 大腸がん 肝臓がん 胆のうがん 膵臓がん 閉経後の女性における乳がん 子宮がん 卵巣がん 腎臓がん 髄膜腫-脳腫瘍の一種 甲状腺がん 多発性骨髄腫-白血球のがん)において、肥満脱却はこれらの病気のリスクを低下させることを報告した。例えば、BMI(肥満度指数)が最も高い群を正常体重群と比較した場合、食道がんではほぼ5倍、閉経後の乳がんでは10%上昇であった。大腸がん、肝臓がん、胆嚢(のう)がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮がん、腎臓がんなどは肥満の影響を受けやすい

(4)自分の子供が肥満になる率が下がる

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母親の肥満は子供の肥満を誘発します。その原因(1)は遺伝子的要素、ホルモン的要素、腸内細菌の伝搬、生活習慣の影響等が考えられています。後3者の要因は母親が肥満を脱すれば子供の肥満誘発の危険率を低下させることが出来ます。

父親の肥満も子供の肥満を誘発すると考えられています。その原因(2)は遺伝的要素、生活習慣の影響等が考えられています。父親の遺伝的要素には父親の肥満が精子の遺伝情報を変化させることが含まれる。すなわち、父親の肥満が解消されるとこの遺伝的要因が消えます。

当然、両親が肥満の場合は子供が肥満になる危険性が高くなります。子供が肥満のまま成人になって、子供を作れば、再びこの循環は繰り返されることになります。
親の因果が末代まで影響するということです。

以上のように、肥満を脱却することが、人生を好転させる最も重要な、最も有効な、最もベースとなるキーポイントであることを心から自覚しましょう。

肥満の方は何も悩む必要も心配する必要もありません。肥満は脱却できることです。淡々と脱却する方法を実行すればいいのです。

3.ダイエット3原則をスタートする前に

<運動量に対して摂取カロリー過剰の結果肥満が生じる>という単純な図式から、単純なダイエット3原則を作りました。この単純な図式に大きな影響を与える要因が6つあります。この6つに大きな問題があると、ダイエット3原則を実行できないあるいは実行してもなかなか効果が出ないことになります。

ご自分がこの6つに大きな問題を抱えていないか自己診断してください。重症の場合は医者に相談することがダイエットより先です。病的(疾患)でない場合はダイエット3原則を実行しながら、この6つの解決を心掛ける必要があります。

(1)ストレス

慢性ストレスが行動や睡眠を阻害していないか、過食を生んでいないか自己診断してください。
大きな慢性ストレスは肥満と悪循環関係にあります。ストレスは過食を生み、肥満を生む。肥満は精神的、肉体的ストレスを生む。

この悪循環にコルチゾールというホルモンが関与しています(コルチゾールがこの悪循環の全ての原因かは確定していません)。

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慢性的ストレスによりグルココルチコイド(コルチゾール)の活動が高まります。これは(1)脂肪組織増大、(2)食欲亢進 、(3)精神的落ち込みによる行動低下,睡眠の質、量低下、(4)脳のエネルギー(糖)欠乏による行動低下、睡眠の質、量の低下などを誘導し、そのいずれもが肥満につながります。肥満が肉体的、精神的種々のプロセスでストレスを生みますから、悪循環が生じます。詳しくは、対処法も含めて肥満悪循環(4)を読んでください。
治療を要する、精神障害や多食症の場合は、まずは医者の管理下で治療をするべきです。

(2)睡眠

肥満は睡眠の質/量を低下させ、場合によって睡眠時無呼吸症候群を誘発する。睡眠の質/量の低下は肥満を誘発する。ここにも悪循環があります。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大部分をしめる「閉塞性(obstructive)」の睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、呼吸という運動は保たれているが上気道のどこかの閉塞によって鼻・口の気流が停止する疾患です。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は米国では人口の4~5%、日本では1~2%といわれていますが、実際はこんなものではないでしょう。自分で気が付かない方がまだまだ存在していると思われます。無呼吸とは、患者さんが10秒以上呼吸を止め、その後呼吸をするのに十分なだけ覚醒することを指します。低呼吸とは、呼吸は止まらないものの、気流が30% 以上低減し呼吸の浅い状態が10秒以上続き、それに伴い酸素飽和度の低下や覚醒が起こることを指します。これらを含む総称、睡眠呼吸障害sleep-disordered breathing (SDB)に広げると、人口の14%、肥満者の41%という報告もあります。

隣の方のいびきがひどいと思ったら、当人にいびき内科(呼吸器内科)で診断してもらうことを勧めてください。寝ている間、酸素不足が続くのだから、色々な不都合が起きる。原因不明の不調を感じている方、いっこうにダイエットの効果の無い方、是非いびき内科(呼吸器内科)をおとずれてください。この睡眠障害の問題が解決すると、一気に人生が変わります。

いびき内科(呼吸器内科)で治療が必要と診断されたら、ダイエットより、こちらの治療が先です。詳しくは、対処法も含めて肥満悪循環(8)をよんでください。

(3)筋肉

肥満は骨格筋形成低下、骨格筋運動低下をまねき、これは運動量低下をまねき、肥満を誘導する。ここに悪循環が生まれる。

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サルコペニアは、筋肉量の減少により筋力の低下や、身体機能が低下した状態を指します。具体的には、歩くのが遅くなる、手の握力が弱くなるなどといった症状が現れるようになります。加齢と共に筋肉量は低下しますが、日常生活に支障が生じるほどに影響を受けている状態がサルコペニアです。サルコペニアは加齢が原因で起こる一次性サルコペニアと、加齢以外にも原因がある二次性サルコペニアに分類されます。二次性サルコペニアでは、生活スタイルが原因となることもあれば、身体的な病気(重症臓器不全や神経筋疾患、炎症性疾患、悪性腫瘍など)が原因となることもあります。そのほかにも、栄養不足からサルコペニアが引き起こされることがあります。

サルコペニアは、これらが原因で筋肉の代謝に関わるホルモン(ステロイドや成長ホルモン)や炎症性サイトカインなどが健康時から変化することで、筋肉の分解量が産生量を上回ることから発症します。
サルコペニアと肥満は合併する場合があり、<サルコペニア肥満>という概念が生まれました。<サルコペニア肥満>の定義は以下の通り。

男性:体脂肪率32%以上で骨格筋量指数が5.67kg/m2以下
女性:体脂肪率32%以上で握力が18.0kg未満または歩行速度が1.0m/s未満
肥満と筋肉形成/低下運動低下の悪循環から<サルコペニア肥満>が生じることは容易に推測できます。サルコペニア肥満は、通常の肥満よりも生活習慣病などにかかりやすく、運動能力、特に歩行能力を低下させるため、寝たきりになるリスクを高めます。

治療を要する<サルコペニア>や<サルコペニア肥満>と診断された場合は、ダイエットより先に、医者の指導で<サルコペニア>や<サルコペニア肥満>の治療を優先してください。

(4)骨/関節

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痩せは骨粗しょう症を誘発し、体重増加はそれを抑制する事が知られています。しかし肥満があるポイントをこえるとかえって骨粗しょう症が誘発され、骨折のリスクが高まります。脂肪細胞の骨形成阻害因子放出増加、骨形成促進因子放出低下およびカルシウムの腸管吸収減少等により骨形成、軟骨形成が阻害されます。骨形成、軟骨形成阻害は運動障害を引き起こし、ここに肥満悪循環が生まれます。

骨粗しょう症や関節障害が治療を要する時は、この治療が優先です。医師との相談の上で、ダイエット3原則を開始しましょう。

(5)疲労

疲労と肥満はとても関連しています。後述のように肥満は疲労しやすい体質を誘導します。疲労は肉体的、精神的活動を低下させこれは肥満を誘導します。この悪循環は肥満を生み出す最も重要な要因と思われます。
疲労はダイエット3原則を実行する上において重要な障害になります。下記のような病的疲労を感じている方は、まずは医者と相談してください。

病的疲労とは慢性疲労症候群です。慢性疲労症候群(CFS: Chronic Fatigue Syndrome)は最近確立した疾患でその原因はよくわからず、その症状も多彩です。
慢性疲労症候群を診断するためには厚労省研究班のつくった診断基準があり、その基準の概略は以下の3項目を満たすことです。

Ⅰ)6カ月以上続く(あるいは再発をくり返す)激しい「だるさ」がある。そして、ほかに病気をもっていない。
Ⅱ)慢性疲労の原因が不明だが全身倦怠感は新しく起こったものであり、症状が現れた時期が明確で、十分な休養をとっても回復しないこと、さらに仕事や生活習慣のせいではなく、疲労のため月に数日は社会生活や仕事ができずに休んでしまうこと。
Ⅲ)自覚症状と医師がみとめる診察所見があわせて10項目あり、そのうちの5項目以上がみとめられること。自覚症状は労作後の疲労感、筋肉痛、多発性関節痛(腫脹はない)、頭痛、咽頭痛、睡眠障害、思考力・集中力低下の7項目です。医師がみとめる診察所見としては、微熱、頸(けい)部リンパ節腫脹、筋力低下の3項目です。

さらに慢性疲労症候群の多くにうつ状態、思考力低下、集中力低下、睡眠障害などがみられます。
慢性疲労症候群と肥満の症状はオーバーラップする部分が少なくありません。しかし、
慢性疲労症候群は原因不明であり、疾患としてとらえられるようになってからまだ時間もたっていないので、慢性疲労症候群と肥満の相互関係に関する研究は今のところ大変少ない。
もしも、慢性疲労症候群の診断基準に思い当たる方がいらっしゃいましたら、ダイエット3原則を実行する前に、まずは医師の指導をあおいでください。

(6)肥満症

BMI≧25(25以上)のとき、「肥満」となります。AまたはBの状態が認められた時に「肥満症」と診断されます。
A:肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害がある。
または
B:内臓脂肪がたまっている。
CTの断面像を撮影し、内臓脂肪面積が100cm2以上あれば「内臓脂肪型肥満」と診断されます。
日本基準ではBMI≧25+ A or Bで肥満症、BMI≧35 + A or Bを高度肥満症としています。肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害とは、いわゆるメタボリックシンドロームということで、メタボリックシンドローム対策として、肥満の初期段階(35>BMI≧25 )から肥満症として治療しようという意図があります。治療法としては減量が第一選択ですから、ここでいうダイエット3原則を実行することと相違ありません。3%以上の減量を目的としており、このようなわずかな減量で合併する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害が有効に改善されるとされています。いかに減量が重要かを表しています。一方高度肥満症BMI≧35 + A or Bは明確に肥満症BMI≧25+ A or B と区別して治療しようという意図があります。高度肥満症では5~10%以上の減量を目標としています。
肥満症の場合は、合併症の状況や内臓脂肪の状態をモニターしてゆく必要がありますから、手段としてはダイエット3原則でよいとおもいますが、 医師の管理下で実行してください。高度肥満症でもダイエット3原則は有効と思いますが、この場合はいろいろな身体状況が考えられますから、単純にダイエット3原則を実行すればいいというわけにはゆきません。必ず医師の指導下で治療してください。場合によっては、薬剤や外科処置による減量治療もありえます。高度肥満症となると合併症も複雑あるいは重度である可能性が高くなりますから、医師の指導が重要です。

4.ダイエット3原則

ダイエット3原則

【1】運動量アップ:運動量を1.5倍にする

【2】糖質摂取抑制:糖質摂取1/2とする

【3】生活リズムの一定化

(1)運動量を1.5倍にする

ダイエット3原則実行のための運動とは、ズバリ<歩くこと>にしぼります。ダイエット3原則はできるだけシンプルに、誰にでもできるように考えています。必要なのは歩数計と歩くために適当な靴だけです。

(1) 必ず歩数計で歩いた歩数を正確に把握する。
(2) 毎日歩く。
(3) 歩く歩数は、世に言う推薦歩数でなく、自分で決める。日によって、体調に合わせて増減する。
(4) ウォーキングの歩き方などという恰好ややり方にとらわれない。単純に毎日、目的歩数だけを達成する。(この<あまやかしダイエット>では散歩とウォーキングを区別していません。歩数計の数字だけを運動量としています。)
(5) 出来るだけ土の上を歩く。どうしてもコンクリ―の上しか歩けない場合は、出来るだけクッション性のよい靴を使う。

もっとも大事なのは(1)と(2)です。毎日買い物にいって、重たい荷物を持って帰って、疲れているから十分な運動をしていると思ってはいけません。疲労感と運動量は別物です。ずばり、歩くのが嫌になったところで、歩くのをストップしたら永遠にダイエットになりません。歩くのは摂取カロリーを消費する為ではありません。もっともエネルギー消費が大きい足の筋肉を増強する為です。これまでより運動の負荷をかけなければ、これまでより筋肉量は増えません。

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筋肉は最もエネルギー消費量が大きいので、体は常にこの量を最小限にしようとします。つかわなければ、喜んで筋肉を壊して、エネルギー消費の少ない組織に変化させてしまいます。
今までより必要だと体が認識しないかぎり、体は筋肉を増やすことはありません。疲れたと感じさせて脅かすと、すぐ運動をやめてしまえば、必要ないんだと認識して、体は筋肉を作る方向に転換しません。
骨格筋を増強することは基礎代謝をアップすることであり、これにより起きている時も寝ている時もエネルギー消費がアップするのです。

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人間が行う代謝(エネルギーを使うこと)は大きく分けて3つに分かれます。

i) 基礎代謝(約60~70%)
ii) 生活活動代謝(約20~30%)
iii) 食事誘発性熱産生(約10%)

基礎代謝とは心身ともに安静な状態の時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量。基礎代謝は人間が行う代謝のうち、約60~70%を占めているといわれています。基礎代謝全体からみると骨格筋は2割程度ですが、その他の基礎代謝を持続的に上げることは難しい。骨格筋を増やして維持すれば、最も持続的に基礎代謝を上げることができます。
無論、ウォーキングは生活活動代謝をアップします。例として60kgの方が、ゆっくりウォーキングを60分するとおよそ189キロカロリー消費するという計算になります。ドーナツ屋さんのチョコリング1個分だそうです。唖然でしょ。生活活動代謝から考えてゆくと、激しい運動しないと過剰カロリーを消費できそうにありません。

<あまやかしダイエット>ですから、短期的に考えてはいけません。日常の摂取カロリーと消費カロリーのバランスの結果として現在があるわけですから、摂取カロリーのオーバー分をカットして、筋肉を少しずつでも増やしてゆけば、確実に現在より少しずつ体重が減ってゆくはずです。毎日、ちょっと負荷をかけて、少しずつ筋肉を貯金してゆくと考えないといけません。一挙に理想に到達しようと思わないように、山登りの極意は頂上を見ながら登らないこと、足元の一歩を見つめることです。

世の中では健康の為に平均10000歩/日のウォーキングが推奨されています。いや8000歩/日が正しいという説もあります。そんな論争はどうでもいいのです。歩数は自分で決めてください。まず、現状を歩数計で把握することが必須です。これを1.5倍にするプランを立てください。通常の方は平均5000歩/日ですから、平均7500歩/日くらいでしょうか。追加で歩く時間は1時間も必要ないでしょう。毎日です。といっても実際は雨の日もあるし、どうしても用事で不可能な日もあるでしょう。要は、体に筋肉増量が必要だと思わせる、今までとは違うなと思わせるのです。

今より1.5倍、例えば7500歩/日が苦痛でなく、習慣となったなら(おそらく6か月から1年続ける必要があるでしょう)、その1.5倍にステップアップしてください。この例では、これで10000歩/日を越します。10000歩/日以上は必要ありません。<私は20000歩/日歩いている>などと自慢する高齢者がいますが、歩きすぎは全く推薦しません、 デメリットが生じる可能性が大です。10000歩/日でも、この数字にとらわれてはいけません。目的の減量値に到達したのちも、歩きは継続するする必要がありますが、体調や年齢に合わせて、歩数を減らすことが必要です。

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v) に気を付けてください。コンクリ―の上を毎日10000歩というは結構ハードです。膝に障害を感じたら、歩く量を減らしてください。そうならないように絶対にいい加減な靴で歩かないように。

上記はあくまで原則です。世で推薦されている歩き方、例えば普通に歩くことに、早歩きをまぜることとか、腕を振って歩くとかは、それの方がいいと思います。ジョギングとかランニングとかも歩くより効果的でしょう。ただ歩くことは誰にでもできること、いままでもやってきたことでハードルが低いと考えて原則としました。

気が向いた時だけウォーキングするとか、土日だけテニスするとかはダイエットに効果ありません。時々トレーニングジムに行くなどというのも同じ。これで運動したのに体重がへらないから、運動はやめたと言いう方は考え違いをしています。<体に筋肉増量が必要だと思わせる、今までとは違うなと思わせる>これができなければ体重は変化しません。
<疲れたイコール運動した>これも違います。つかれたというのは脳ミソが感じることで、運動したというのは体(筋肉)が感じることです。別のメカニズムがつかさどっているのです。
大運動を時々するより小運動を毎日するほうがずっと効果があります。<小運動を毎日する>これが、体に筋肉の増加が必要だと思わせる効果があるのです。急に運動量を増やす時間がない方は、初めは15分/日でもいいです。しかし、毎日です。ようするに毎日小さくても運動する習慣を身に着けることがポイントなのです。この習慣が身に付いたら、少しずつ運動量を増やしましょう。

仕事から帰ると疲れて動けないとか、どうしても追加歩きの時間が取れないとかいう方はダイエットをあきらめてください。

というのでは冷たすぎますから、いくつかの解決法を列記します。出来そうなことを試してください。

i) 疲れているのは、運動量が多いからですか? 精神的疲れではないですか? ちゃんと歩数計で測ってください。仕事上で10000歩/日を越えて歩いている方はとても少ないと思います。仕事で疲れるのは精神的に疲れているのです。精神的疲れの場合は、追加歩きして疲れが増加することはありません。追加歩きで、むしろ精神的疲れは減ります。
すでに歩数計で10000歩/日を越えている方は、追加歩きは必要ありません。運動量ではなく、他の側面から肥満の原因を探って対応しましょう。
以下、10000歩/日に達していない方に対してのコメントです。
精神的疲れの場合は、肥満悪循環ストレスを読んでください。精神的疲れは肥満の最大の原因なのです。歩くことはストレスから逃れる重要な手段です。
追加歩きが出来ない、そんな余裕のない人生はどこかで悪循環に陥っています。心の転換もできないほど余裕を失っている方の最後の手段は、悪循環から脱するために職場を変えることを真剣に考えるべきです。

ii) 仕事を引退した方は追加歩きを実行することは容易です。問題はバリバリ働いている方がどうやって追加歩きを可能にするかです。
まず、車離れをしましょう。地方の方が車を使わないことは考えられないと主張することは十分わかります。地方でも都会でも、絶対必要だから車を使う場合より、単に乗ることが当たり前になっているから乗っているのでしょう。車を使わなくてもどこまで生活がちゃんとできるか試みてください。最低6か月間です。ダイエットのためです、がんばりましょう。車を使わない生活になれると、こちらの方が楽しいことに気が付くはずです。
エスカレーターをつかわないで、階段を使いましょう。階段は自分の体力の衰えが一番わかる場所です。階段を下りることもとっても運動になります。長い列を作ってエスカレーターにのる、エスカレーターにのらないと損する気になる、こんなのことはやめましょう。階段はダイエットのために神様が与えてくれたありがたいチャンスです。

iii) 追加歩きは、仕事が終わってからとはかぎりません。仕事の前でもいいのです。ノーベル賞の山中先生も朝のランニングが日課です。人生は朝が勝負です。自分が人生を引っ張るのか、世の中に引きずられて仕方なく生きているのか。
筆者がベンチャーを運営している時は<残業禁止>としました、本音は残業代を払えないからですが、朝からその気で働けば、残業なしでビジネスはちゃんと回るのです。まわらなければ、ビジネスモデルそのものが間違っているのです。 夜まで仕事をしている人はいつ考えるのですか? 考えないからビジネスが回らないで、回らないから働き続ける、単なる悪循環。世の中に引きずられて仕方なく生きているのです。
歩くことは考えることです。朝歩くときは、今日一日のプランを考え、夜歩くときは、一日の反省と明日のプランを考えるのです。歩いているときにいいアイデアが生まれるということはよく知られたことなのです。

iv) それでも追加歩きをスタートできない方のために <アクティブ・レスト:積極的休息>という考え方を推薦します。ぼーっとした休息を短時間の小運動に置き換える休息法です。後ほど詳しく説明します。これが最後の砦です。
これでも<仕事から帰ると疲れて動けないとか、追加歩きの時間が取れないとかいう方はダイエットをあきらめてください>というのが本音です。

v) 人の楽しみは人それぞれですから、楽しい事をウォーキングとドッキングする方法も人それぞれでしょう。なんとか頭を使ってウォーキングと楽しい事をドッキングさせてください。
筆者はお酒が飲みたいがためにウォーキングしています。お酒は体にいいわけない、しかし飲まなければ楽しくない。ウォーキングすればお酒を飲むデメリットを軽減してくれるに違いないと信じてウォーキングしているわけです。これが筆者のウォーキングの動機の全てです。

vi) もう一つ、ウォーキングは気分転換にとても有効なのです。日常にいやなことはいっぱいあります。いそがしければいそがしいなりの、暇なら暇なりのいやなことに満ちています。ごちゃごちゃ、悩まないでなんでもいいからウォーキングを開始すれば、ウォーキングをしないよりはした方が何か改善されます。
何かアイデアを考えるときもウォーキングは有効です。ノーベル賞の山中先生は朝ランニングしながら研究構想を考えているとおしゃっていました。
とにかく運動しなければという義務感から、いやだけどやらねばという非壮観をただよわせてウォーキングやランニングすることはやめましょう。
<大運動を時々するより小運動を毎日する>が合言葉です。小運動をいかに楽しくやるか、それは皆さんのアイデアにかかっています。

(2)糖質を半分にする

糖質ダイエットは有名です。いいや、糖質ダイエットは間違っているという説もあります。栄養学の学会でも糖質カットの良し悪しに関して真二つに分かれて議論が何十年も続いています。筆者にはこの論争はどうでもいいのです。肥満から脱出するには、やはり過剰摂取カロリーを減らす必要があります。脂質をカットしろと、栄養士は主張します。単位重量当たりのカロリーが最も高いのが脂質ですから、この主張は正しい。しかし、外食したり、買った物を食べる機会がどんどん増えている現在に、正確に摂取脂質の量と質を把握することはとても難しい。今食べている料理が高級オリーブオイルを使っているのか、普通の菜種油を使っているのか分かりません。脂質は量だけなく質もダイエットに重要なのです。

よくわからないことに気を遣う、こんな面倒なことは長続きしません。ダイエット3原則は極めてシンプルです。普通の方は食事には必ず、お米かパンか麺類を食べます。今まで食べていた主食であるお米かパンか麺類をこれまでの半分にしましょう。これなら明確でしょう。ダイエット出来るか出来ないかの踏み絵みたいなものです。過剰摂取カロリーを減らすという宣言みたいなものです。

主食であるお米かパンか麺類をこれまでの半分にできませんという方はダイエットをあきらめてください。

問題は主食を減らせばお腹がすきます。すいたお腹をどうやって黙らせるか。野菜と蛋白質でうめます。うめかたは各自にお任せします。

蛋白質を摂らなければ筋肉はできません。ダイエット3原則の一番目が達成できなくなりますから、蛋白質を摂ることは必須なのです。蛋白質に付随してくる脂をどうやってさけるかは重要で、筆者はもっぱら魚を摂ります。納豆や豆腐の大豆蛋白質はおおいにOKです。高野豆腐は究極のダイエット食というのは、その通りです。

野菜は生野菜にこだわる必要はありません。お腹をどうやって黙らせるかが問題なのです。ビタミンがこわれる、こわれないは全く気にしなくてOK、熱をかけてボリュームをへらした野菜をどんどん食べましょう。熱をかけても植物繊維は壊れません。植物繊維は満腹感を与えて、脂肪吸収を押させて、糖吸収をゆっくりさせ、インスリンの急上昇を抑えて、腸内環境を整えて、メリットが満載なのです。こわれるビタミンは別途、ときどき補充すればいいのです。はやりのトマト・リコピンは加熱したほうが、ダイエットに有利という報告がありますから、熟れすぎたり、形が適当でなかったりして安くなったトマトを調理してどんどん食べればいいのです。

白米がいいか玄米がいいか、パンがいいか麺類がいいかはおまかせします。ここでは体重を減らす話をしているので、健康になにがいいかという話をまぜると、際限なく複雑になって、めんどうになり放り出す方が増えてくるにちがいありません。

肥満の方は脂っこいものをどうしても食べてしまうとか、甘いものをどうしてもたべてしまうとかいう方がいらっしゃいます。この原因はちゃんと説明できる研究がありますから、肥満悪循環で勉強してください。この理屈を何度も頭の中で繰り返して、何が敵なのかをしっかりと認識して、じっと我慢してください。麻薬患者が麻薬から手を切ると同じ努力が必要なのです。

(3)生活リズムを一定にする

筆者はバイオベンチャーを運営していた時に、京大の日内リズム(概日リズム、サーカディアンリズム)の高名な先生の仕事に関係させていただきました。この先生のおかげで、ずいぶんと日内リズムの重要性を叩き込まれました。その影響で、ダイエット3原則に生活リズムを入れたということは否定できません。しかし、日内リズムが分子レベルで明らかになってから、まだ10年くらいしか経っていません。肥満と日内リズムの関係が、十分に科学的に解明されてはいないのです。それでも<生活リズムを一定にする>をダイエット3原則として取り上げるには訳があります。

我々の主張するダイエットナビは肥満を悪循環としてとらえて対処法を考えるというユニークなアプローチをしていることに特徴があります。後程肥満悪循環の項でじっくり勉強してください。

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循環であるということは、原因が結果を生み、結果が原因を生むということで、容易なことではこの状態から脱することが出来ないことを意味します。このようにある状態が変化に対抗して元の状態でいようとする性質をロバスト性といいます。こんな気取った言い方をしなくてもなんとなくわかってほしいのですが、何か特別なポイント(クリティカル・ポイント)を飛び越えないとこの循環を破れないのです。どこかでエイヤっと飛び越えないといつまでたっても行ったり来たりで壁をこえられないのです。そのために、運動習慣を身に着けるときに負荷をかけるということをどうしても要求せざるをえないのです。いくら甘やかしダイエットでもどこかで負荷をかけなければなりません。悪循環を脱して好循環にはいれば、今度はこの好循環にロバスト性が生まれて、ちょっとさぼっても悪循環に戻らなくなります。

肥満はこれまでの習慣が生んだ結果です。これまでの習慣を変化させないで、肥満を解消することは出来ないのです。後でも述べますが、現状では食べ物や薬(例外はあります)で肥満を解消することはできないのです。ダイエットとは習慣を変えることです。良い方に変化させた習慣は継続させなければ意味がありません。その前に継続させないと良いか悪いかがわかりません。

人生には浮き沈みがあり、日々の生活にも色々な出来事がおしよせます。新しくやろうとする習慣はその変化に左右されやすい。ですから、新しく試みようとした習慣を継続させるために<生活リズムを一定にする>という命題を心の中で繰り返している必要があるのです。生活リズムを一定にすれば良いことがあると一心に信じるのです。

では、生活リズムを一定にすれば良いことがあると信じさせるために、日内リズムの研究でわかっていることを少し述べます。

人の体内全てには遺伝子レベルで生活のリズムを一定にする仕組みが組み込まれています。
このリズム周期は24時間より少し長い。これを24時間に調節するのが、太陽の光のリズムです。朝の光がこのリズムの開始を指令します。目が光を受け取って、脳の視床下部にある体内時計を調節する仕組みに指令を与えるのです。放っておいてもチクタクうごいている体内時計を常に24時間時計に調節しています。この視床下部の標準体内時計が全身にある体内時計を調節して、体全体の体内時計が一定の生活リズムを作り上げています。何でこんなことになったのか?それは人の生活が朝晩の光のリズムに合わせて出来ているからです。食事をすること、活動すること、寝ること、それぞれに対応して体の仕組みが最も都合のいいように体を調節する為です。これは遺伝子レベルで起きます。食事をしたくなる、これを消化して栄養とする、働くためのエネルギーを作り出す、眠くなり眠る、眠ってからだの色々な部分を次の日のために整える。全ての活動を最も都合のいいように調節するのです。人を作った神様はすごいこと考えるもので、この体内時計は一方でとてもフレキシブル(柔軟)な一面をもっているのです。人は他の国にゆけば、いずれそこの朝晩に合わせたリズムになります。おそらく他の星にゆけばそこの朝晩にあわせて、違う周期のリズムを作ってゆくでしょう。人はその柔軟さにつけこんで、徹夜で仕事をしたり、昼夜逆転で生活したり、頻繁に海外旅行したり、勝手なことをやらかします。海外旅行の時差で体が不調になることは殆どの人が経験しているでしょう。この勝手な行動はいい事ないのです。ただ、あまりにがっちりと変化できない時計を体に埋め込んでは、人は変化に対応できずに滅びてしまうので、柔軟性を与えてもらっているのです。

人がこの日内リズムを崩した場合、どれくらい崩すと、どれくらいのデメリットが生じるかに関する科学的研究はまだまだ十分ではありません。しかし、動物実験ではかなりわかってきました。免疫力低下、消化活動低下、肥満発生率増加、高血圧発生率増加、癌発生率増加、薬の効き方の変化、どんどん、日内リズムの崩れがデメリットを生じる証拠とそのメカニズム解析が蓄積されています。日内リズムを崩した場合なぜ肥満となるかのメカニズムも明らかになっています。

日内リズムを崩した場合にデメリットがあることは皆感じているのですが、なんとかなるといい気になってリズムを壊しています。リズムを壊す方がかっこいいと思っている方もいます。現状では人に対する研究が十分でないので皆さんを強烈に説得できないのです。

以上の状況を読み取って、<生活リズムの一定化>の重要性を信じてください。

信じたら、まず朝が重要です。全てのリズムは朝から始まります。朝食をきちんととって、きちんと体をリズムに乗せましょう。朝食をぬくと肥満に近づくことが示されています。栄養のとりかたも夜にかたよらずに朝へシフトしたほうがいい。夜遅く食べると肥満をまねく、十分なよい睡眠が無いと肥満になりやすい、これらは日内リズム遺伝子レベルで説明がついてきました。 無論、まだのところもあります。

疲れたから、土日は寝ているというのはダメです。

朝食をキチンととる、土日もいつもの生活リズムですごせるかの2点はダイエット3原則の試金石です。

5.ダイエット3原則に付随する注意点

1) 食事を必要量より減らしてダイエットすることは無意味です。栄養が足りないと筋肉が壊されて減ってしまいます。これすなわち基礎代謝が減るということです。栄養が足りないと、その分少ない栄養を効率よく利用できるように体の仕組みが変化します。この2点は食事を元にもどすと、間違いなくリバウンドをおこして、かえって体重が増加するということです。一生、食べる楽しみを制限してすごすのはばかげています。

ただし、肥満症や高度肥満の方は医師の指導で、食事制限が必要な場合があります。あくまで過剰なカロリー摂取を抑制する為で、医師の指導で行ってください。絶食ダイエットなどというのは医師の指導なしでやる方法ではありません。

最近、ふと見ると、<糖質制限さえすれば、ダイエットに運動はいらない>というお医者さんのコメントがネットに、<月曜絶食がダイエットに一番>という本とかがありました。それぞれの主張には根拠があると思います。<甘やかしダイエット>は極端なことはやらないこととサステイナブル(継続性)を重要視しています。一生、おいしいお米を食べられないとか、絶食するとかが考えられますか?それぞれの主張の根拠はこれらの方法をやめた後にどうなるかは保証していないのです。かくいう<あまやかしダイエット>もやめた後にどうなるかは考えていません。やめるという考え自体がありません。

2) 特定の食品を摂ってダイエットしようという考えはきっぱり捨ててください。ヒトの体の遺伝子は<食品はからだを作り、動かす為の物>と認識して働くようにセットされています。食品を食べて減量することはありえません。減量するとしたらその食品は毒物です。

例外的に、人間はあまり毒にならずに体調を調節する薬草などの天然物を見つけ出しています。これはダイエット食品として世に出回っています。このダイエット食品をうまくつかう方法は肥満悪循環の項を読んでください。これはわずかな例外です。遺伝子の食品に対する働きの基本原理をうごかすことはできません。ダイエット食品はあくまで食品なのです。
ダイエット食品の広告は根拠の乏しいものが蔓延している事も含めて、ダイエット食品はダイエットのために、決して第一選択とはなりえないのです。

一方、納豆やバナナやキャベツなどの特定の食べ物を食べつづけてダイエットする方法があります。これらの食品が直接体重を減らすわけではなく、有効な蛋白質を与えたり、空腹をおさえたり、植物繊維を与えたりすることを継続することで減量に結び付けているわけで、これらの方法を否定するつもりは全くありません。しかし、私はこの特定食品が大好きだという方は別ですが、一生同じものを食べ続けるというのはあまりうれしくないでしょう。色々美味しいものを食べるから、人生は楽しいのです。
あまやかしダイエットは楽しく暮らすこが目的ですから、筆者は最初から、<特定の食品を摂ってダイエットしようという考えはきっぱり捨てること>を推奨します。

3) <あまやかしダイエット>は美容を目的としていません。
自分の特定の部分が太っていて気に入らないという理由でダイエットしようとする方、すなわち美容を目的とする方は<あまやかしダイエット>の対象としていません。しかし、肥満の定義に当てはまる方は、まずダイエット3原則を実行して健康体重まで下げてください。全体の体重減と同時に気に入らない部分も改善されます。しかし、まだ理想から遠いという方は、もう<ストレッチ>、<スクワット(下半身レジスタンス運動)>や<筋トレ>しかありません。ダイエット3原則を継続しながら、目的に合わせて<ストレッチ>、<スクワット>や<筋トレ>を追加してください。

4) もう一度ダイエット3原則の目的を確認します。

i)歩くことは筋肉をつける為で、摂取カロリー消費のためではありません。運動習慣を身につけるための決心を意味します。
ii)糖質をカットすることはわかりやすいからそうするのであって、過剰摂取カロリーをへらすための決心を意味します。
iii)生活習慣を一定にすることは、これまでの生活習慣を変化させる決心を意味します。

ダイエット3原則を1年間実行すれば、体重と胴回りは通常1割減少します。実行しつづければ、それが維持されます。場合によってはさらに体重がゆっくり減少するでしょう。 決して大変なことではありません。
効果が実感できれば、あとはこんなダイエットナビは必要ありません。さらに、自分の体をどう改造したいかは、いろいろな情報を駆使して、ご自分で考えてダイエット3原則に追加してください。ただし、あくまで追加です。

ダイエット3原則を1年間実行しても効果が実感できない方は、どこか考え違いをしているか、ベースに身体的欠陥をもっていると思います。どうしても生活習慣を変えられない方は高いお金をだして、RIZAPにかよって、強制的に生活習慣を変化させてもらいましょう。ベースに身体的欠陥を持つ方は医師をおたずねください。

筆者はRIZAPからお金をもらっているわけではありませんが、運動と食事の双方からダイエットを考えるという点と<やりきる>ために数々のサポート体制をとっている点を評価しています。

第二章 悪循環という視点で肥満を見る

以下に、ダイエット3原則を実行したうえで、ロバスト性をもつ肥満悪循環を破る助けになる方法を述べます。あくまで、ダイエット3原則に追加する手段です。

まずは以下に肥満悪循環のタイプを列記しますから、ご自分がどの肥満悪循環に陥っているのか自己診断してください。その後に肥満悪循環タイプ別に対処法を書きますから参考にしてください。

甘やかしダイエット15

上図は肥満悪循環が色々ある事を示しています。細かいことは後述しますので、色々あることだけ認識してください。肥満気味や肥満の方はこれら肥満悪循環のいくつかを重複して持っていると思ってください。肥満と戦うわけですから、肥満悪循環という見方から、敵(肥満)を知ることが重要です。敵を知り、己を知れば、百戦危うからず!

自分のダイエットをどこから攻めるか?

まずダイエット3原則を実行してください。そのうえで、この3原則を実行するにあたって、しんどいと思う点が出てきた場合に、その原因を探りましょう。すいすい実行できる方は、以下を読まずに、ただ実行を続けていただければ十分です。

肥満の原因、肥満悪循環を理解することは、<今自分の体の中でどんな問題が起きており、ダイエット3原則の実行でその問題点と対決している>という明確な認識が実行する意欲を後押ししてくれるでしょう。

ダイエット3原則実行の障害となる部分の原因を特定して、それに対応した、推薦できる既存のダイエット法やサプリメントを提示します。これにより、ダイエット3原則実行の障害を低くしてくれることを期待します。ただし、ダイエット3原則の実行が最優先で、これはあくまで追加事項です。まずはダイエット3原則を一心に実行してほしいのです。

ご自分のダイエット3原則実行への障害はいずれでしょうか?

問題点1 食欲中枢: 甘いものや脂っこいものが大好きで、これ無しの生活など考えられない。

問題点2 疲労: 毎日仕事で疲れてしまって、運動なんて考えられない。ましてや土日は寝ていたい。

問題点3 ストレス: 仕事はきつい、食べることと、ごろ寝してテレビを見ることしか楽しみがない。

問題点4 不規則生活; 仕事の都合により、生活が不規則で、生活リズムの一定化なぞ考えられない。

問題点5 運動嫌い: 運動すること自体大嫌い。

問題点6 運動できない: 運動したくても、筋肉は無いし、ひざは痛いし、運動できない。

問題点7 眠い: 常に眠い、やる気がない。

このいずれかの障害を感じている方はその対策をとるために
i) ご自分の障害の原因がどこにあるか?
ii) さらに、その障害の原因がいかなる肥満悪循環に起因しているか?
を深堀して理解してください。

ダイエット3原則実行への障害は大きく分けて6つの原因があります。さらにこの原因にはいろいろな肥満悪循環が根底にあり、それらが絡み合っています。

1) 脂肪組織(内臓脂肪、皮下脂肪など)の変質
  肥満悪循環②(グリコーゲン減少)、肥満悪循環③(筋肉減少)、肥満悪循環④(ストレス増加)、
  肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)、肥満悪循環⑥(肝臓異常)、肥満悪循環
  ⑦(脂肪組織変質)、肥満悪循環⑩(疲労増加)

2) 食欲をつかさどる中枢の異常
  肥満悪循環①(カンナビノイド)、肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)

3) 定常的疲労
  肥満悪循環⑩(疲労増加)、肥満悪循環④(ストレス増加)

4) 筋肉の減少、骨/関節の故障
  肥満悪循環③(筋肉減少)、肥満悪循環⑨(骨減少)

5) 慢性的ストレス
  肥満悪循環⑦(脂肪組織変質)、肥満悪循環⑩(疲労増加)

6) 睡眠障害 
  肥満悪循環⑧(睡眠障害)

<まずはご自分のダイエット3原則実行への障害(問題点)から入って、→その原因を考え、→さらにその原因となる肥満悪循環への理解を深め→その対抗策を考える>という手順をとりましょう。

ここまで読むと、これはとっても大変と思うでしょう。何も考えずにダイエット3原則をすいすい実行していただくのが<甘やかしダイエット>としては推薦なのです。
この章の目的は
i) ダイエット3原則はここまでいろいろ考えたうえで、その集約として、シンプルに表現したものです。単に、その辺の話を寄せ集めたものではないことを理解していただきたいのです。
ii) ダイエット3原則実行への障害(問題点)があって、どうしても実行できない方への後押しです。
iii) 敵を知り、己を知れば、百戦危うからず! 肥満の理屈をよく知ることは、これと戦うに、ベターであることは間違いないのです。

問題点1 食欲中枢:甘いものや脂っこいものが大好きで、これ無しの生活など考えられない。

このタイプの方は、その原因としてまず 2) 食欲をつかさどる中枢の異常を疑ってください。その根底にあるのは肥満悪循環①(カンナビノイド)又は肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)です。
肥満悪循環④(ストレス増加)及び肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)も食欲中枢に影響します。

肥満悪循環①(内因性カンナビノイド関連)

甘やかしダイエット16

美味しい食事、高脂肪食は血中に内因性(体の中で出来る)麻薬様物質(カンナビノイド:AFA, 2-AG )を増加させます。これが中枢に作用して食欲を亢進します。脳みそが美味しい食事(アルコール、甘味、高脂肪食)を欲しがるようになるのですからこの悪循環はやっかいです。だれでもこの悪循環にはいりこむ危険性を持っており、高度肥満者はこの悪循環に入り込んでいる可能性が大です。
麻薬を摂取したときに反応すると同じメカニズムが働いているのですから、そのつもりで心してこの悪循環から脱しましょう。対抗策は食事の内容を変えることです(後述)。

肥満悪循環⑤(中枢の炎症)

甘やかしダイエット17

<肥満とは体中の臓器の慢性的軽度炎症である>という考え方が近年確立してきました。この考え方は肥満に対する考え方を大きく進歩させました。慢性的軽度炎症を起こしている臓器として注目されるのは脂肪組織と中枢です。脂肪組織の話は後に回すとして、ここでは中枢に注目します。中枢の視床下部という部分には食欲を調節する仕組みがあります。過剰の栄養摂取はこの視床下部を慢性的軽度炎症状態に誘導します。すると、食欲調節が上手く働かなくなって、過食になるのです。過食は視床下部の慢性的軽度炎症状態を誘導しますから、ここに悪循環がうまれます。この悪循環は肥満に向かう傾向を持つ方は誰でも陥る悪循環です。対抗策は無論過食の抑制です。過食が慢性炎症を生むことを理解してもらいたいのです。

この問題点の原因は5) 慢性的ストレスや4) 筋肉の減少が関係している場合があります。
それぞれ、肥満悪循環④(ストレスによる肥満)及び肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)が根底にあります。

肥満悪循環④(ストレスによる肥満)

大きな慢性ストレスは肥満と悪循環関係にあります。ストレスは過食を生み、肥満を生む。肥満は精神的、肉体的ストレスを生む。
この悪循環にコルチゾールというホルモンが関与しています(コルチゾールがこの悪循環の全ての原因かは確定していません)。

甘やかしダイエット18

慢性的ストレスによりグルココルチコイド(コルチゾール)の活動が高まります。これはi)脂肪組織増大、ii) 食欲亢進 、iii) 精神的落ち込みによる行動低下,睡眠の質、量低下、iv) 脳のエネルギー(糖)欠乏による行動低下、睡眠の質、量の低下などを誘導し、そのいずれもが肥満につながります。肥満が肉体的、精神的種々のプロセスでストレスを生みますから、悪循環が生じます。
グルココルチコイド(コルチゾール)の活動が高まりは血中の糖が筋肉に回ってしまい脳のエネルギー(糖)欠乏が生じて甘いものを欲しがる傾向を生みます。
ストレスが肥満と大きく関わることを理解してほしいのです。対処法は無論ストレスから逃れることですが、これは容易ではありません。
肥満悪循環④(ストレス増加)対抗策を読んでください。

肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)

甘いものを食べないとやってゆけない方で、特に空腹時にこの傾向の強い方は、筋肉が空腹時のエネルギー源として重要なグリコーゲンをため込むことが不十分になっていることが考えられます。肥満悪循環②(グリコーゲン減少)が原因です。

甘やかしダイエット19

過食は脂肪細胞の炎症を誘導し、<インスリン抵抗性、レプチン抵抗性、悪玉ホルモン増加、善玉ホルモン減少>を介して、筋肉合成を抑制し、その結果筋肉の貯えるグリコーゲン量が低下します。また、肥満により生じるインスリン抵抗性は筋肉へのグルコース取り込みを抑制し、その結果筋肉のグリコーゲン合成が抑制されます。筋肉はグリコーゲン蓄積の最大器官ですから、これが減少することは、食事を食べないときに、容易に血糖が低下してしまうことを意味します。中枢はほぼグルコースしかエネルギー源にできないので、常に甘いもの(グルコース)を欲しがります。
体は生きるために最も優先的に脳を元気にしなければなりません。グルコースがなくなることは脳に致命的であるために、グルコース要求を必死で行う。結果、空腹時に甘いものを間食する。これは摂取カロリー上昇ばかりでなくインスリン濃度を急激に上昇させ、これが脂肪蓄積を助長する。すなわち肥満が進行する。ここに肥満、筋肉減少、間食の悪循環が生まれます。対抗策は無論筋肉をつけることで、後述します。

次にダイエット3原則実行への障害(問題点1~7)全てのベースとなっている共通の原因についてのべます。

それは1) 脂肪組織(内臓脂肪、皮下脂肪など)の変質です。すべての問題点の原因ですから、問題点から、肥満の原因を探る手順としては役に立ちません。しかし、肥満と対抗するために最も重要な基本知識として是非知っておかなければなりません。

そもそも肥満とは脂肪組織の増大を意味します。しかし、脂肪組織が増大するだけでなく、増大に従って、脂肪組織が変質し、体全体の機能に影響を与えることを理解することが重要です。肥満悪循環の多くはこの脂肪組織の変質が関連しています。いってみれば、脂肪組織の変質が肥満悪循環の中心にあると考えてください。

脂肪組織の変質が原因になって2次的に生み出される肥満悪循環は肥満悪循環②(グリコーゲン減少)、肥満悪循環③(筋肉減少)、肥満悪循環④(ストレス増加)、肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)、肥満悪循環⑥(肝臓異常)、肥満悪循環⑦(脂肪組織変質)と様々です。

肥満悪循環②(グリコーゲン減少)、肥満悪循環④(ストレス増加)、肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)は前述したので、ここでは重要な肥満悪循環⑥(肝臓異常)、肥満悪循環⑦(脂肪組織変質)を説明します。肥満悪循環③(筋肉減少)はあとまわし。

肥満悪循環⑥(肝臓脂肪合成、糖放出上昇)
過食は脂肪組織の炎症を誘導します。脂肪組織とは大部分は脂肪細胞で構成されますが、組織体をつくるための結合組織や血管、炎症系細胞などが含まれます。この炎症系細胞の活性化と脂肪細胞の性格が変化することが互いに連動して脂肪組織の炎症状態が起きます。
摂取した脂肪はエネルギー源としてまた細胞の成分として使用されますが、余った脂肪は脂肪細胞に蓄えられます。これは体を維持するためにとても大切なことです。
i)食物を摂っていないときは、蓄えられた脂肪やグリコーゲンがエネルギー源として使われます。グリコーゲンはすぐ枯渇するから、脂肪は重要なエネルギー源なのです。
ii)食物の脂肪は腸管から脂肪酸として吸収されますが、遊離脂肪酸(裸の脂肪酸)は体に有害であり、脂肪に再合成して脂肪細胞に安全に蓄えておく必要があります。脂肪細胞から必要に応じて厳密な管理下で体中に補充する仕組みが出来ています。

脂肪細胞に脂肪をため込むことは体にとってとても必要なことであります。特に食べ物がいつ手に入るかわからない原始時代は脂肪をため込むための仕組みを遺伝子上にいくつも組み込んだのです。その遺伝子構造は現在もほとんどかわっていません。過食の時代に入っても脂肪細胞はどこまでも脂肪をため込む運命にあります。どこまでも巨大化した脂肪細胞はこれ以上過食するなというシグナルをだす。対応限界をこえると、さすがに脂肪細胞は性質が変化し、脂肪組織は炎症状態にはいる。この原始時代には予測しなかった過食が脂肪組織の破たんを招いているのです。それでも頑張って脂肪組織はどんどん大きくなります。
脂肪細胞は色々なホルモン(アディポカイン)を放出しています。脂肪組織の炎症状態は脂肪組織から悪玉ホルモンの放出の増加、善玉ホルモン放出の減少を招きます。このホルモン放出の変化が、全身のインスリン反応やレプチン反応の変化を起こします。肥満になると全身の組織におけるインスリンの働きが悪くなります(インスリン抵抗性)。体の組織の糖の取り込みが抑制されるために血中の糖が上昇し、肝臓もこれをトラップする力が低下して、血中に垂れ流す。これに対応してインスリンの放出は盛んになり、ますますインスリン抵抗性が増加します。また、インスリン抵抗性により肝臓での脂肪合成が亢進し、脂肪が脂肪細胞へ流れ込んで、脂肪細胞炎症が亢進します。悪玉ホルモンの放出の増加、善玉ホルモン放出の減少を招き、ますますインスリン抵抗性が増加します。インスリンをめぐる肥満悪循環が生じます。

甘やかしダイエット20

インスリンの働きにまつわるメカニズムは複雑で、本当のところ完全にわかっていないのです。難しいことは抜きにして、以下の点だけを心にとめておいて下さい。
i)巨大になったお腹のまわりの脂肪組織は単に見た目が悪いだけではないのです。全身にむかって悪いホルモンを出しています。それが回りまわってまた脂肪組織を大きくします。
ii)脂肪組織は決して悪い子ではありません。脂肪組織を悪い子にしてしまう過食と運動不足が悪い子なのです。
iii)インスリンはとっても重要な働きをする、必須の役者であるにもかかわらず、膵臓内のちっぽけな組織(ランゲルハン氏島)におけるベータ細胞でしか産生されません。危なっかしい(他に代替の仕組みがない)体の仕組みなのです。膵臓のベータ細胞を酷使しないように大事に付き合ってください。肥満自体と肥満を起こす生活習慣はベータ細胞を酷使します。急にドッカーと働かせたり(ドカ食い)、ずっと過剰労働させたり(肥満自体、過食)、時間外労働(夜食、間食)させたりしないように気を付けましょう。 

肥満悪循環⑦(脂肪組織の変質)
過食は脂肪細胞の炎症を誘導し、<インスリン抵抗性、レプチン抵抗性、悪玉ホルモン増加、善玉ホルモン減少>を介して、前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化および白色脂肪細胞からヴェージュ脂肪細胞あるいは褐色脂肪細胞への褐色化を抑制する。またインスリン抵抗性からこれら脂肪細胞でのエネルギー消費が抑制される。その結果肥満が助長され悪循環が生まれる。

甘やかしダイエット21

前述しましたが、脂肪組織は体に必須の組織なのです。単純に脂肪組織を減らすことはいい事だとおもわないでください。脂肪組織が炎症状態になり、その働きが変質してしまうことが問題なのです。
i) 脂肪を過剰に摂取すれば、脂肪組織はこの過剰脂肪をため込まざるをえないのです。脂肪組織はパンパンになっている上にさらに必死に脂肪を取り込むわけです。まずは過剰に脂肪を摂ることは厳禁です。
ii) 脂肪組織を正常状態に戻すには、脂肪組織中の脂肪を消費しなければなりません。脂肪を減らすには、食事を摂らない間、特に夜間に基礎代謝として脂肪をエネルギー源として消費させるのです。基礎代謝を増加させるために、最もエネルギー消費の大きな(運動していなくても骨格筋はエネルギーを消費するようにセッティングされています)足の筋肉を増加させるのです(これをダイエット3原則に反映させています)。無理やり絶食したり、極端に摂取カロリーを減らすと、前述のようにリバウンドが起きますので推薦しません。
iii) 脂肪組織では脂肪をため込むことが主たる目的である白色脂肪細胞(WAT)と脂肪を燃やして熱をつくる褐色脂肪細胞(BAT)が存在しています。必要に応じてWATはBATに変化します。脂肪細胞の前駆細胞からBATが出来ることもあります。いずれにせよBATが増えるのです。 人はつねに熱を放出していますが、遺伝的にこの熱放出が大きい人と小さい人がいます。いくら食べても太らない方は前者、たいして食べていないので太る方は後者
です。この脂肪組織の熱放出をコントロールするシステムに作用して、これを増大させる食品があります。これは肥満循環⑦脂肪組織変質 対応法に書きます。

以上、脂肪組織の変質が肥満悪循環の中心にあり、全身に悪影響を与えることをしっかり理解する必要があります。この変質の根源は脂肪組織の炎症です。対抗策としては脂肪組織の炎症を抑えることであり、脂肪燃焼を増加させることです(後述)。

次に、以下の問題点2,3,4は共通の原因として3) 定常的疲労又は5) 慢性的ストレスがあり、その根底には共通の肥満悪循環⑩(疲労増加)
又は肥満悪循環④(ストレス増加)があります。

問題点2 疲労増加: 毎日仕事で疲れてしまって、運動なんて考えられない。ましてや土日は寝ていたい。
問題点3 ストレス増加: 仕事はきつい、食べること、ごろ寝してテレビを見ることしか楽しみがない。
問題点4 不規則生活; 仕事の都合により、生活が不規則で、生活リズムの一定化なぞ考えられない。

疲労とストレスは肥満と大きな関連があることを認識し、自分の疲労とストレスの状態としっかり対峙しましょう。

肥満悪循環⑩(肥満―疲労)

甘やかしダイエット22

肥満は体重増ですから、肥満の方は標準体重の方が10~20kg以上の荷物を担いで生活しているようなものです。当然疲れます。これは運動や行動の減少を誘導して、肥満を助長します。これはメカニズムなど考える必要もない明白な悪循環です。

しかし、このような単純な悪循環に加えるに、もっと複雑な悪循環が存在しています。
i)疲労には肉体的疲労と精神的疲労があります。
肉体的疲労は抹消性疲労であり、筋肉運動による筋肉のエネルギー不足、血流不全、神経伝達不全、筋肉損傷にともなう炎症などが関連します。
抹消疲労に対立するのは中枢性疲労です。中枢性疲労は精神的疲労ばかりが関連するのでなく、肉体的疲労、精神的疲労いずれもが中枢性疲労に関与します。 即ち、肉体的疲労である運動による自律神経の負荷増大及び精神的ストレスが中枢の酸化ストレスを増大し、神経細胞にダメージを与えることが中枢性疲労を招くと考えられています。
この考え方が生まれたのは、慢性疲労症候群の原因が中枢に慢性軽度炎症が起きることであることがわかってきたからです。
ここで言いたいのは、肉体的労働と精神的ストレスは脳で合流して疲労感を生み出すということです。
ii)慢性疲労症候群は中枢の慢性軽度炎症が関連していることがわかってきた一方で、肥満は全身特に脂肪細胞と中枢の慢性軽度炎症が種々の肥満悪循環を生み出していることがわかってきました。ところが、肥満と疲労の関係の研究は意外に進んでおらず、この2つの慢性軽度炎症の関連はわかっていません。

しかし、可能性として、慢性軽度炎症が肥満と疲労の悪循環を生み出していないだろうか? 
i) 肥満における脂肪細胞の慢性軽度炎症が悪玉ホルモンを介して中枢性疲労を助長する。
ii) 過食が血中遊離脂肪酸等を介して直接中枢の慢性軽度炎症即ち中枢性疲労を生み出す。
iii) 肥満における筋肉における慢性軽度炎症が末梢性疲労を生み、ひいては中枢性疲労を助長する。などが考えられます。筆者の個人的意見としてはこれらの可能性は十分あると思います。

以上から、<肥満は疲労しやすい体質を作り上げている>という恐ろしい状況に陥っているということです。しかもこれは悪循環している。
つまり肥満そのものと問題点2疲労増加、問題点3ストレス増加、問題点4不規則生活 が悪循環を形成しているということです。

問題点2疲労増加、問題点3ストレス増加、問題点4不規則生活 だから、ダイエット3原則を実行できないというと、デッドエンドになってしまいます。 とにかくダイエット3原則を実行してもらうしか道はありません。
少しずつでもいいですからダイエット3原則を実行する方向に向かいましょう。
ダイエット3原則を実行しようと、心を入れ替えて下さい。

心を入れ替えるきっかけとして、新しい考え方、<アクティブ・レスト>「積極的休養」を提案したいと思います。<甘やかしダイエット>にはピッタリの方法ですので、肥満悪循環対策の章を読んでください。

ダイエットが成功すれば、前より疲れなくなります。食べること以外に楽しいことが見つかります。生活が不規則というのも大半は自分の責任であり、ダイエット3原則を実行しようと努力すれば、生活のリズムを作れるようになります。

強い表現をすれば、
<肥満は心の病>と認識すべきです。心を入れ替えれば肥満は治る。心を入れ替えなければ、肥満は一生治りません。そのうち本当に病気になってしまうのです。
<肥満は心の病>は言い過ぎだと思われるかもしれませんが、肥満の方の8割は関連する疾患をもっています。肥満からずっと脱却しないと、いずれは何らかの関連する疾患に陥るわけですから、<肥満は心の病>といっても言い過ぎではないでしょう。肥満を脱却しようと努力しないことは、病気のときに医者からもらう薬を飲まないことや、手術をしろといわれても拒否しているのと同じです。しかし、一般の病気と大きく違う点は肥満は間違いなく治るということです。

疲労とは肉体的疲労ばかりでなく精神的疲労があります。問題点3ストレス増加 は無論ですが、問題点2疲労増加、問題点4不規則生活 の原因も実は精神的ストレスにあると考えたことがありますか?
仕事がきついというのは、精神的ストレスがきついということではありませんか?
前述のように、肉体的疲労と、精神的疲労は相乗的に疲労を生みますから、精神的ストレスに対抗することは重要です。

実際にご自分の一日の運動量を測定したことがありますか? 通常の仕事において歩数計で10000歩/日以上歩いている方で、肥満の方は珍しいと思います。肥満の方は精神的ストレスが疲労の大きな原因と思われるのです。思い当たる方は肥満悪循環⑩(肥満―疲労)の対策法だけでなく肥満悪循環④(ストレスによる肥満)対応法をご覧ください。

問題点2疲労増加、問題点3ストレス増加、問題点4不規則生活の方は、ストレスのコントロール法に注目してください。

さらに、問題点4不規則生活、の生活のリズムが、本当に職場環境の問題で自分ではコントロールできない場合は、朝に勝負をかける対応法を次章で提案します。

以上、肥満は心の病であることを認識し、対抗策は小さいことを毎日実行することから生活習慣を変えることです。

問題点5運動嫌い: 運動すること自体大嫌い。
問題点6運動できない: 運動したくても、筋肉は無いし、ひざは痛いし、運動できない。

これら問題点の原因は4) 筋肉の減少、骨/関節の故障であり、この根底にある肥満悪循環③(筋肉減少による運動減少)、肥満悪循環⑨(骨/関節障害)について述べます。
体を動かさずに肥満解消はありえないと認識し、どうやったら体を動かす自分に変えられるかを真剣に考えるべきです。

肥満悪循環③(筋肉減少による運動減少)

甘やかしダイエット23

前述のように、肥満は筋肉減少をまねき、筋肉減少は運動障害をまねき、運動障害が肥満をまねくという肥満悪循環が存在します。ご自分の筋肉があまりないと思っている肥満の方は、この肥満悪循環に陥っている可能性が大です。

肥満悪循環⑨(骨/関節障害)

過食は脂肪細胞の炎症を誘導し、<インスリン抵抗性、レプチン抵抗性、悪玉ホルモン増加、善玉ホルモン減少>を介して、骨や関節組織の形成を抑制する。その結果、運動機能の低下、さらに骨折、関節痛を招いて、さらなる運動障害を生じる。

甘やかしダイエット24

痩せは骨粗しょう症を誘発し、体重増加はそれを抑制する事が知られていますが、肥満があるポイントをこえるとかえって骨粗しょう症が誘発され、骨折のリスクが高まります。その他のメカニズムとして
i)脂肪細胞の放出する悪玉ホルモン(炎症性サイトカイン:TNF-α, IL-1, and IL-6)は骨の再吸収を増加させる。
ii) 脂肪細胞が産生するレプチン放出増加は骨量を減少させる。
iii)脂肪組織からの善玉ホルモン(アディポネクチン)放出減少は破骨細胞増加、再吸収増加をまねく。
iv)遊離脂肪酸増加は吸収不能の不溶カルシウムを増加させ、カルシウムの腸管吸収を減少させる。
v)間葉系幹細胞は骨芽細胞と脂肪細胞は共通の前駆細胞であるために、脂肪細胞形成が増加すると、骨芽細胞形成が抑制される。
等が原因と思われます。
関節においても、肥満は体重増の機械的重量負荷増加及び上述の理由によって、関節炎が起こりやすくなることが知られています。特に内臓脂肪が悪影響を及ぼすという報告があります。
このように、肥満は関節の障害や骨折により運動能力を大きく低下させます。これは高齢者にとって肥満悪循環ばかりでなく寿命にまで大きく影響します。

この問題点5,6を持つ方は、筋肉の増加あるいは骨、関節を丈夫にする対策をとる必要があります。動けなくなる前に対策をとらねばなりません。対処法をお読みください。

問題点5運動嫌い の方は、体質的、あるいは遺伝的に肥満傾向とか筋肉形成力が低い方とか運動が苦手であり、運動しないことがますます、肥満や筋肉減少を招き運動嫌いになる悪循環をもっているのだと思います。この方も心を入れ替えて、ダイエット3原則を時間をかけて実行してもらうしかありません。

フィジカルトレーナーの主張するダイエット法はいきなり理想的な方法を押し付けることが多く、出だしのハードルを高く感じて一歩を踏み出せない、あるいは途中で挫折してしまう傾向にあります。ダイエット3原則はその方の現状を少しずつ変える設定になっており、いきなり理想的な方法を押し付けることはしていません。<小さいことを毎日実行する>ことを中心に考えています。少しずつの変化で必ずダイエットできるのです。運動が嫌いでも、ダイエットを志したら、心をいれかえて、ダイエット3原則を実行してください。

さらに一言、問題点5運動嫌いの方の中には好きなことにはエネルギーを使うことは何とも思わないが、嫌いなことにはエネルギーを一切かけないという極端な性格の持ち主である方がいます。たとえば、ショッピングや海外旅行では2~4kmくらい平気で歩くのに、運動は嫌いという。ですから、何とか好きなこことダイエット3原則を結び付けてください。

完全に動けなくなってからではもう遅いのです。動けるうちに、少しずつです。
対策は<小さいことを毎日実行する>しかありません。

問題点7眠い: 常に眠い、やる気がない。

この問題点を持つ方の原因は6) 睡眠障害であり、肥満悪循環⑧(睡眠障害)が関連します。

睡眠はこれまであまり注目されていなかった分野です。睡眠時無呼吸症候群は肥満と関係ないとお思いの方、日内リズム(サーカディアンリズム)など興味ないという方は考えを変えてください。

肥満悪循環⑧(睡眠障害)

肥満は睡眠の質を低下させ、場合によって睡眠時無呼吸症候群を誘発する。睡眠の質の低下は肥満を誘発する。

甘やかしダイエット25

睡眠の質や量が低下することと肥満が関連するという疫学的研究報告が多数存在します。呼吸関連睡眠障害の中でも最も発症頻度が高い閉塞性睡眠時無呼吸症候群においては、睡眠時の呼吸障害による酸素不足から、酸化ストレスが上昇、それによって誘発される脂肪組織の炎症上昇により肥満が誘発されると考えられています。さらに肥満が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を誘発すると考えられています。すなわち閉塞性睡眠時無無呼吸症候群と肥満に間には悪循環がある可能性が示唆されます。

睡眠障害について前述しましたが、繰り返します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は大きく分けて2種類あリ、一つは、呼吸という運動は保たれているが上気道のどこかの閉塞によって鼻・口の気流が停止する「閉塞性(obstructive)」の睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。もう一つは呼吸運動そのものが停止する「中枢性(central)」の睡眠時無呼吸症候群(CSASといいます)です。前者が圧倒的に多い。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は米国では人口の4~5%、日本では1~2%といわれていますが、実際はこんなものではないでしょう。自分で気が付かない方がまだまだ存在していると思われます。

隣の方のいびきがひどいと思ったら、当人にいびき内科(呼吸器内科)で診断してもらうことをお勧めします。寝ている間、酸素不足が続くのだから、色々な不都合が起きる。原因不明の不調を感じている方、いっこうにダイエットの効果の無い方、是非いびき内科(呼吸器内科)をおとずれてください。この睡眠障害の問題が解決すると、一気に人生が変わります。

無呼吸とは、患者さんが10秒以上呼吸を止め、その後呼吸をするのに十分なだけ覚醒することを指します。低呼吸とは、呼吸は止まらないものの、気流が30% 以上低減し呼吸の浅い状態が10秒以上続き、それに伴い酸素飽和度の低下や覚醒が起こることを指します。
これらを含む総称、睡眠呼吸障害sleep-disordered breathing (SDB)に広げると、人口の14%、肥満者の41%という報告もあります。

睡眠時無呼吸症候群は治療しなければなりません。この疾患に当てはまらない方が健全な睡眠を得るには、
i) 睡眠障害と肥満は悪循環しますから、脂肪細胞炎症を抑えて肥満を抑えるこれまでの述べたサプリメントに加えて、睡眠を健全にするサプリメントが有効でしょう。これは対処法で後述します。
ii) 健全な睡眠を得るには、サーカディアンリズム(概日リズム、日内リズム)を理解することが重要です。このリズムを守ることが、健全な睡眠を与えます。このリズムがくずれることが肥満につながることが知られています。これはダイエット3原則に反映させています。

以上、睡眠障害の疑いのある方は、必ずいびき内科(呼吸器内科)で診断してもらいましょう。通常の健康診断では行われない、しかし、これまで隠れていた影響力の大きな疾患なのです。肥満を含め睡眠に限らない原因不明の身体異常に関連しています。サーカディアンリズム対応は肥満3原則の生活の一定化に集約されています。

第三章 各肥満悪循環への対抗策

自分はどのタイプか? その1 食欲の異常を感じる方へ

問題点1 食欲中枢:脂っこい物や甘いものにどうしても手がのびる方へ、甘いものを食べないとどうしてもやってゆけない方へ

以下、食欲に関連する悪循環に対抗する手段をまとめます。食欲に関連する悪循環は多岐にわたりますので、ご自分がどの悪循環に該当するかをよく考えて対抗策を検討してください。

肥満悪循環①(内因性カンナビノイド関連)に対抗するには、

1)オリーブオイルはオレイン酸(n-9系脂肪酸)を多く含みます。オレイン酸はoleoyl ethanolamide (OEA)を生じて、OEAは内因性カンナビノイド合成および作用経路を抑制します。 さらに、食欲亢進ホルモン低下、食欲亢進神経経経路抑制などによる食欲抑制および脂肪燃焼促進をします。オレイン酸に反して、リノール酸(n-6系脂肪酸)は内因性カンナビノイドを増加させます。ベニバナ油(サフラワー油)やコーン油、大豆油など通常用いる天ぷら油やサラダオイルに使われる油にリノール酸が多く含まれます。
2)魚油、えごま油、亜麻仁油、クルミ油に多く含まれる、EPAやDHA(n-3系脂肪酸)は内因性カンナビノイドの生成を低下させます。さらに脂肪細胞の炎症抑制、脂肪酸化促進、インスリン抵抗性改善に働きます。

よって、世間でよく言われる、オリーブオイル・ダイエットやナッツ・ダイエットは一応根拠あることです。しかし、以下の2点は十分注意する必要があります。

i)油はどの種類でも重量当たりのカロリーはほぼ同じ。いずれも高カロリー食物であることにかわりはありません。通常多く摂取するn-6系脂肪酸を減らして、その分をn-9系、n-3系脂肪酸に置き換えると考えるべきです。これまで通りの食事をして、それプラス、オリーブオイルやナッツを摂るというのは推薦できません。
ii)n-3系脂肪酸(EPA、DHA)は構造上酸化しやすい。新鮮な物あるいは酸化防止の工夫された物を使用すること。
オリーブオイルは酸化しにくいので、コストアップを容認できるなら、通常の天ぷら油やサラダオイルをオリーブオイルに置き換えることは有効です。なお、コストはさらアップしますがエクストラバージンオリーブオイルはオリーブの実を絞ったままのオイルで、種々のポリフェノールが含まれ、これが抗肥満効果を持つことが報告されています。料理に使用する一般のオイルをオリーブオイルに置き換えるのであって、オリーブオイルを追加的に使用するのではありません。多量に使うオイルは一般のオリーブオイルに切り替え、少量使うオイルはエクストラバージンオイルに切り替えることがいいでしょう。間違っても、以前より多くの脂質を摂ったらだめです。

3)思い切って通常の食事の8割を和食型食事、すなわち魚、植物系蛋白質(納豆、豆腐等)、野菜、海藻、発酵食品、コンニャク、少々のごはんへシフトする。仕事の都合上、付き合が多く、外食を制限することが難しい方は、後の2割は皆との会食にまわす。または、自分へのご褒美の美食にまわす。
肥満悪循環①カンナビノイド タイプの方はほんとうに、脂っこいものが好きです。ステーキ、とんかつ、天ぷらを筆頭にハンバーガー、フライドポテト、フライドチキン、ソーセージに目がありません。魚、野菜、豆腐等は見向きもしません。この方々を和食タイプにシフトするにはどうしたらいいか?和食のおいしさを追求しましょう。地方を旅して、地域のおいしい和食を食べる、和食をよく知る先輩について行って和食を食べる。和食は美味しいという概念を頭にうえつけるのです。美味しいと思えば和食型食事にシフトできます。これを続ければ、内因性カンナビノイドもへってきて、もっと和食が美味しくなる好循環にはいります。

徹底した地中海風オリーブオイル料理にするか和食型食事にするかの2択です。ずっと続けられなければ無意味です。

肥満悪循環⑤(中枢の炎症)に対抗するには

炎症は肥満悪循環の中核となります。②グリコーゲン減少、③筋肉減少、⑤食欲中枢異常、⑥肝臓異常、⑦脂肪組織変質、⑩疲労増加 には中枢や脂肪組織の炎症が大きく関与しており、これらの組織の炎症を抑えるサプリメントが対抗手段となります。
この抗炎症タイプ・サプリメントはいずれも肥満悪循環⑤食欲中枢異常 に対抗するに有効ですが、ここでは、中枢炎症抑制が報告されているものを選んでいます。

1)葛の花のイソフラボン、テクトリゲニン(tectorigenin)類
PPARγ アゴニストとして脂肪組織の抗炎症作用および中枢での抗炎症作用が報告されています。東京新薬(株)などの臨床試験報告が少数あり、肥満及び肥満気味の方に対して抗肥満効果が報告されています。
葛の花は中国でお茶として飲まれています。日本では山菜として、花だけでなく若芽や若葉を料理したものが食べられているそうですが、手にいれることは難しい。葛の花の抽出物が入ったサプリメントが多種販売されています。

2)緑茶のポリフェノール
緑茶のポリフェノール、Epigallocatechin-3-gallateは 中枢の炎症を抑えるまた脂肪組織の脂肪燃焼を促進するという報告があります。マウスの実験では緑茶ポリフェノールは高脂肪食による体重増加を抑制します。緑茶抽出物はエピガロカテキンガレートの臨床試験報告は少なからず存在する。しかし、肥満における高血圧を抑制したり、いくつかの肥満指標改善がみられるが、体重減少、BMI減少をしめす報告は少ない。
エピガロカテキンガレートを多く含む緑茶やサプリメントを選ぶとよいでしょう。

3)n-3系脂肪(ω3脂肪)
n-3系脂肪酸はマクロファージに働いて炎症を抑制し、脂肪細胞に働いて褐色化を促進する(つまり、脂肪燃焼が増加する)ことが報告されています。中枢、視床下部の炎症も抑制する報告が多く存在します。n-3系脂肪酸に関する膨大な基礎研究と臨床研究があるにもかかわらず、抗肥満効果を証明するに足る臨床研究はありません。n-3系脂肪酸はPPARγやPPARαに結合して活性化するとされています。 脂肪細胞に対する作用はPPARγを介するシグナルと表面受容体GPR120(FFAR4)を介するシグナルと2系列あります。いずれのシグナルも脂肪細胞の分化と炎症抑制に働きます。しかし、n-3系脂肪酸投与が脂肪組織のPPARγやPPARαの発現(これらの蛋白質が増えること)を抑制するという報告もあり、PPARγやPPARα活性化を亢進するのか抑制するのかは意外にはっきりしません。
臨床的に、n-3系脂肪酸の抗肥満効果がはっきりしないのは、n-3系脂肪酸の働きがそう単純でないことを意味するのかもしれません。

なんでPPARγやPPARα(この2つの蛋白質は脂肪細胞の中にあります)に対する作用に注目するかというと、PPARγ活性化は脂肪細胞が前駆細胞から脂肪細胞が出来上がるために必要であると共に脂肪燃焼を担う褐色脂肪細胞を増やすにも必要です。またPPARγ活性化は抗炎症につながります。PPARα活性化は脂肪燃焼を促進します。PPARγやPPARα活性化の意味は単純ではありませんが、ざっぱくにいえば、脂肪組織の働きを正常化すると考えられています。

自分はどのタイプか? その2 気になる胴回りを持っている方へ

【メタボ傾向の方へ】

脂肪組織の変質が関連する肥満悪循環 
②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)
③(筋肉減少による運動減少)
⑥(肝臓脂肪合成、糖放出上昇)
⑦(脂肪組織の変質)、
⑨(骨/関節障害)
⑩(疲労)
に対抗するには

これらの悪循環はいずれも脂肪組織の変質が関連します。変質の原因は脂肪組織の炎症です。よって、抗炎症系サプリメントが有効です。脂肪細胞の炎症を抑制する、あるいは脂肪細胞の脂肪燃焼を促進する証拠を提示しているサプリメントを推薦します。炎症抑制and/or脂肪燃焼促進が重要で、その結果脂肪組織は減少します。脂肪組織炎症抑制and/or脂肪燃焼促進の検討せずあるいは、この効果がないのに単純に脂肪組織を減少させますという効能書きは危険です。脂肪組織は体に必要です。脂肪組織の変質を正常化することが目的で、脂肪細胞をなくすことを目的としては危険です。オーバーフローした脂肪は肝臓に貯まって脂肪肝が発生します。

脂肪組織炎症抑制and/or脂肪燃焼促進効果の報告のあるサプリメントを紹介します。肥満悪循環⑤(中枢の炎症)と一部オーバーラップしています。

もう一つ、言っておかなければならないこととして、肥満が生み出す全身的炎症は、<炎症はオーバーしたカロリーを消費する自衛的手段>であるという考え方があるということです。そのメカニズムは複雑なのでここでは述べませんが、言いたいことは、カロリー制限や運動なして、炎症を抑えるサプリメントを多用するとかえって肥満が助長されるということです。つまり,<ダイエット3原則を実行した上でサプリメントを使用しないと逆効果になる可能性がある>ということです。

風邪をひくとウイルス感染に対抗して炎症が起きます。炎症が起きなければウイルスはどんどん増殖して、人は死ぬ可能性があります。このように炎症は体にとって必要なことなのです。しかし、炎症は発熱や寒気はいろいろ不快な症状を引き起こします。そこで風邪薬を飲むと炎症による反応をブロックするために、この不快な症状が抑制されるというわけです。炎症というのは必要なことなのです。肥満においても炎症が必要な自衛手段であるという説は納得できます。下記サプリメントは抗炎症作用が報告されていますが、よくて風邪薬程度の効果と思ってください。サプリメントは肥満の根本的問題を解決してくれません。あくまで<ダイエット3原則>を実行してください。

1) 黒コショウ(黒ウコン)抽出物、ペンタメトキシフラボンなど
黒コショウ(黒ウコン)出物中のpolymethoxyflavonoids(ペンタメトキシフラボンなど)
がPPARγアゴニスト(活性物質)として、脂肪細胞炎症抑制、褐色化と脂肪燃焼亢進を示し、黒コショウ抽出物投与は臨床試験において体脂肪減少を誘導する報告があります。
日本の複数の大学で研究が進んでいます。ここに示した天然物のなかでは最も研究が進んでいるようです。メーカーではオリザ油化㈱が力を入れています。

2) カプシエイト
辛味のないトウガラシ成分です。カプシエイトは消化管の受容体に作用して、神経系を介して中枢に作用し、交感神経活性化の結果、アドレナリンが上昇し、脂肪組織中の褐色脂肪細胞を活性化して、脂肪燃焼、エネルギー消費を高めます。また白色脂肪細胞の脂肪貯蓄を抑えます。肝でもグリコーゲン消費、脂肪燃焼促進が生じます。その結果、抗肥満効果が認められます。メーカーでは味の素㈱が力を入れています。

3) ショウガオール
ジンゲロール Gingerolは新鮮なショウガに含まれる辛み成分。化学的には唐辛子に含まれるカプサイシン、ピペリン(コショウの辛味成分)などに近く、乾燥するとより強い刺激を持つショウガオールとなります。
ショウガオールはピペリン(コショウの辛味成分)より辛く、カプサイシン(トウガラシの辛味成分)よりは辛くありません。
ショウガ抽出物(ジンゲロールとショウガオールを含む)の抗肥満効果が動物試験でいくつかのグループから報告されていますが、臨床試験報告はありません。抗肥満効果のメカニズムとして、脂肪細胞分化抑制や脂肪組織の炎症抑制が報告されています。カプサイシンと異なり、交感神経の活性化作用はなく、むしろ抑制する報告があります。花王㈱の研究によると筋肉や肝での脂肪分解からエネルギー転換を促進、運動における筋肉耐久性の向上を抗肥満効果のメカニズムとして報告しています。(以上PubMedレベル)

4) 明日葉ポリフェノールXanthoangelol  4-Hydroxyderricin
カルコンchalconeは,アシタバの葉や軸を切るとにじみ出てくる黄色の液体で、カルコンにふくまれる明日葉ポリフェノール(キサントアンゲロールおよび4-ハイドロキシデリシンを主成分とする)が種々の生理活性を示します。
カルコンはPubMedに幾つかの抗炎症作用の報告があります。PubMedには現状では掲載されていませんが、タカラバイオ・バイオ研究所報告ではラットへの明日葉カルコン粉末投与で血糖値低下、インスリン抵抗性改善、アディポネクチン亢進、血中コレステロール低下等、抗メタボリックシンドローム効果が示されています。また若干名の臨床試験で、あしたば青汁投与による肝臓脂肪減少等抗肥満及び抗メタボリックシンドローム効果が報告されています。

5) コンブ、モズク等褐藻類の色素成分カロチノイド、フコキサンチンFucoxanthin
フコキサンチンは体内で代謝されフコキサンチノールFucoxanthinolとなりますが、フコキサンチノールは脂肪組織の炎症を抑制するという報告があります。フコキサンチンの臨床試験では、肥満者の糖尿病指標HbA1cを低下させるが、内臓脂肪減少は見られませんでした。なお、Fucoxanthin及びその代謝産物は脂肪組織の褐色化に作用しないという報告があります。一方で、Fucoxanthinは脂肪細胞において、PPARγやPPARαなどの脂肪燃焼に関与する分子の発現を亢進するという報告もあります。

6) ヒドロキシクエン酸 Hydroxycitric acid
 クエン酸(酢)citric acid

ガルシニアカンボジアはインドや東南アジアに生育するオトギリソウ科の植物で、マンゴスチンと類縁です。ガルシニア抽出物は(-)-ヒドロキシクエン酸((-)- Hydroxycitric acid、
を多く含みます。ガルシニア抽出物あるいは(-)-ヒドロキシクエン酸の抗肥満効果に関する臨床試験は多くの報告があります。効果を否定する報告と、肯定する報告が存在すます。最近ではバイオアベイラビリティーが高い新規ヒドロキシクエン酸のカルシウム―ポタシウム塩(スーパーCitriMax(HCA-SX) HCA-SX,)の臨床試験での抗肥満効果報告が目立ちます。
メカニズムとしては脂肪酸合成経路の阻害、脂肪燃焼促進、グルコースからのグリコーゲン生成が高まり、血中のグルコース濃度が安定による空腹感抑制、酸化ストレス抑制、炎症抑制等が報告されています。

お酢はクエン酸を多く含み、同様のメカニズムで抗肥満効果が期待できます。ミツカングループのは臨床試験で肥満者への15~30mlのお酢投与で抗肥満効果を報告しています。
しかし、お酢投与は高血糖、高インスリン血症、高脂血症、肥満を抑制する報告と、効果がないという臨床報告が存在します。メカニズムとして、胃を空にする速度を抑制する、肝のグルコース産生抑制、グルコース消費亢進、インスリン分泌促進、脂肪合成抑制、脂肪分解促進、胆汁酸分泌促進、満腹感亢進、エネルギー消費亢進等が報告されています。

7) βアミノイソ酪酸 β-Aminoisobutyric acid
核酸塩基の代謝産物として尿中に排出されることで知られていましたが、最近、筋肉活動により放出される低分子ホルモン(ミヨカイン)としてその生理作用が注目されるようになりました。生理作用のなかでも脂肪細胞の褐色化を促進することが抗肥満効果につながります。その他肝の脂肪燃焼促進や脂肪細胞からのレプチン分泌促進細胞作用、脂肪細胞での抗炎症作用等が報告されています。運動により、筋肉からのβアミノイソ酪酸放出が増加して抗肥満につながることが重要な意味を持つ可能性が示唆されています。βアミノイソ酪酸投与による動物試験での抗肥満効果の報告はあるが、臨床試験の報告はありません。(PubMedレベル)

8) ラクトフェリン
ラクトフェリンは、母乳・涙・汗・唾液などの中に含まれる糖タンパク質です。
ラクトフェリンは、鉄と強く結合し、細菌の必要とする鉄を奪うことにより強力な抗菌活性を持ちます。但し、腸内細菌の成育は抑制せず、むしろ生育を助長します。ラクトフェリンは細菌由来の炎症物質であるLPSと強力に結合することにより、LPSのマクロファージへの結合を阻害し、炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6の産生を抑制する抗炎症作用を持ちます。脂肪前駆細胞から成熟脂肪細胞への分化を抑制します。経口投与されたラクトフェリンが、腸間膜リンパ節およびパイエル板で免疫細胞に作用する可能性が指摘されています。経口投与されたラクトフェリンが抗肥満作用を持つことが報告されています。マウスにラクトフェリンを経口投与すると、血液中の中性脂肪と遊離脂肪酸が減少し、肝臓中の中性脂肪とコレステロールが減少すること、および臨床試験の結果、ラクトフェリンの投与によりBMIの減少と腹部内臓脂肪の減少が確認されています。経口投与されたラクトフェリンが内臓脂肪までをのままの形で到達するか、消化管で分解されたフラグメントとなり作用しているかは不明です。またラクトフェリンのが抗肥満効果の主たるメカニズムが直接、脂肪細胞分化を抑制することか、抗炎症作用か、あるいはその双方であるかははっきりしません。ライオン㈱が腸管まで到達するようにコーティングしたラクトフェリンを開発して、積極的に抗肥満効果の研究をすすめています。しかし、ラクトフェリンの機能は多彩であり、ラクトフェリンが脂肪細胞分化を促進するという報告もあり、ラクトフェリンの抗肥満メカニズムに関しては不明な点が多い。

9) 乳酸菌の一種、ビフィズス菌
腸内細菌の放出するリポポリサッカライド(LPS)は炎症を起こす物質です。ビフィズス菌は腸管の壁からのLPSの体内(血中)進入を抑制するあるいはLPS産生菌の生育を抑制します。これにより炎症をおさえます。臨床試験において、肥満傾向成人に対するBifidobacterium breve B-3経口投与は体脂肪を減少させ、抗炎症作用を示しました。

10) レスベラトロール(resveratrol)
食品では赤ブドウの果皮と赤ワインなどに含まれる。ピーナッツの皮、イタドリ、 グネモンなどにも含まれます。
長寿遺伝子または抗老化遺伝子と考えられているサーチュイン遺伝子をレスベラトロールが活性化することが知られています。マウスなどのモデル生物・実験動物を用いた研究では、寿命延長・抗炎症・抗癌・認知症予防・放射線による障害の抑止・血糖降下、脂肪の合成や蓄積に関わる酵素の抑制などの広い範囲の効果が報告されています。肥満にとって重要なのは抗酸化作用、抗炎症作用、抗肥満作用です。炎症系細胞を含む脂肪組織におけるレスベラトロールの抗酸化作用、抗炎症作用は重要ですが、さらに動物試験レベルでは確かにレスベラトロールの脂肪細胞への直接作用として、褐色脂肪細胞の増加とエネルギー消費の増加が報告されています。
ヒトを用いた試験で抗肥満作用があるという報告と抗肥満効果は認められないという報告が拮抗していて、抗肥満効果は十分に確立していません。

筋肉に関連する肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)

この肥満悪循環に対抗するには、筋肉を増加させる地道な方法をとるしかありません。運動が一番です。同時に必要な蛋白質をとらねばなりません。筋肉に関連する肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)の詳細に関しては運動障害関連の項にまとめて後述します。

肥満悪循環④(ストレスによる肥満)に対抗するには

ストレスは肥満と大きな関連をもっています。<肥満は心の病>という観点からも、ストレスは肥満の最も核心部分かもしれません。
ストレスは扱いにくいテーマです。しかし、ダイエットを志したら、どうしても自分のストレスと対決しなければいけないのです。 テーマの性格上長くなるので、ここでは簡素に書きます。詳細は最終項をご覧ください。
ストレス対処法は大きく分けて4つあります。
i) 前述のようにダイエット3原則に従って、ウォーキングすること。これを習慣にして気分に関係なく毎日実行すること、つまり生活のリズムの一定化。これだけは基本にしていただくために繰り返します。
ii) 毎日を他人との比較のなかで生活しないこと。自分の目標を定めて、この目標と現実の間で事を考えること。他人との比較の中でしか生きられない方が一番ストレスフルな
人生を送ると思います。自分には目標がないのだと悩む方は大いに悩めばいい。決して、同じような境遇なのに、なぜあの人は幸せそうにしているのだなどと他人との比較を不満の対象としないように。これをやっていると永遠に不満はなくなりません。
iii) ストレスをシャットダウンする心の持ち方を考え出すこと。たとえば、いかんともしがたい後悔することなどはすぐ忘れることです。ストレスが自分の体のある部分、たとえば肩とか胃とかを攻撃し続ける場合、意図的に心の中でこれをシャットダウンする。これは自律神経失調症の治療法として認められている、自律訓練法に相当します。自律訓練法とは自分で自己暗示をかけて心身の緊張状態を緩和する治療法です。
iv) これは最終手段です。ストレスを発生する環境から脱出すること。ストレスでボロボロになる前に脱出することも重要な手段です。

ストレスを解消する観点からのサプリメントは最終項をご覧ください。

タイプ1(脂っこい物や甘いものにどうしても手がのびる方へ、甘いものを食べないとどうしてもやってゆけない方)の方にはさらに2つのことを付け加えます。

栄養の吸収を抑えるサプリメント

i) 満腹感をあたえて、腸管からの糖吸や脂質の吸収を抑制するサプリメントは中枢の食欲との戦いを支援してくれるかもしれません。ただし、アクセルを踏みながら(間食しながら)、ブレーキを踏む(吸収阻害する)ようなサプリメントの使い方はご法度です。 仕事上どうしても食事を過剰あるいは定時外に摂らなければならない方の緊急避難的に使うべきでしょう。
ii) 一時的に栄養吸収を抑えても、体の要求が無くなるわけではないから、結局どこかで要求を満たしている。ダイエット3原則の生活のリズムを一定にするという目標をくずしてしまうので、筆者は今はやりの栄養吸収阻害ダイエットを推薦したくありません。
iii) 抗肥満サプリメントの王道である抗炎症タイプ・サプリメントで、原因である炎症を抑制することに加えてカロリー・カットタイプのサプリメントを併用することにより、一時的にカロリー流入をカットすることは、一応、理にかなっているということはできます。

栄養の吸収を抑えるサプリメントは以下の通り。

1) サイリウム/ランタゴ・オオバコPsyllium、 Plantago psyllium
オオバコ科オオバコ属の種子の皮のことで、吸水することにより約30~40倍に膨潤しゲル状になり、胃で膨れて満腹感を得られます。食べたものの移動が緩やかになり、消化吸収も遅くなります。急激な血糖値の上昇を抑え、インスリンの大量分泌を防ぎます。食物繊維として、食欲抑制、栄養吸収抑制、腸内細菌変化が抗肥満効果を引き起こします。含まれるポリフェノール類等の抗炎症、抗酸化作用も抗肥満効果に働くと考えられています。動物試験および幾つかの臨床試験で空腹時血糖値抑制及び体重抑制作用が報告されています。

2) サラシア(Salacia oblongaなど)、サラシノール、コタラノールなど
サラシアはインド・スリランカから東南アジアにかけて広く分布する植物で、古くからアーユルヴェーダー(民間療法)にて糖尿や肥満の治療に用いられてきました。サラシアの有効成分はサラシノール(Salacinol)、マンジフェリン、コタラノール、カテキン類、タンニン類などのポリフェノールです。腸管からの糖吸収抑制および食欲抑制が抗肥満効果を生むと考えられますが、抗炎症、抗酸化作用や脂肪細胞分化抑制や脂肪細胞における脂肪蓄積抑制作用も報告されています。PPARαリガンドとして働くことが、脂肪合成抑制と脂肪分解促進とつながる報告もあります。
サラシアSalacia oblongaにはサラシノールとコタラノールのようなα-グルコシダーゼ阻害剤(α-glucosidase inhibitors:デンプンのような炭水化物分解を抑制する)が含まれます。α-グルコシダーゼ阻害剤は糖尿病治療医薬として大きな実績があります。炭水化物(例えばデンプンや砂糖など)の消化に必要であるα-グルコシダーゼ酵素を阻害することにより、炭水化物の消化吸収を防止することによって、血糖値の上昇をおさえ2型糖尿病予防・治療に用いられています。
急激な血糖上昇はインスリン分泌上昇、エネルギー取り込みの上昇を誘導するので、ハーブ由来α-グルコシダーゼ阻害剤により糖吸収を抑制し、血糖上昇を抑制することは抗肥満効果が期待できます。少ないがサラシアSalacia oblonga の臨床試験における抗肥満効果および血糖値の改善が報告されています。

3) ギムネマシルベスタGymnema sylvestre、ギムネマ酸
ホウライアオカズラ(学名: ギムネマシルベスタGymnema sylvestre)は、インドの南部や中央部やスリランカの熱帯林を原産とするハーブです。2千年近くにわたり糖尿病の治療用のハーブとして使用され続けています。Gymnema sylvestreの主要な生理活性成分は、ギムネマ酸です。ギムネマを口にすると砂糖の甘味が減少する事が知られています。
Gymnema sylvestreの抽出物は食欲抑制および糖、脂肪の吸収抑制により抗肥満効果につながると考えられています。動物試験で多くの抗肥満効果を示す報告があります。しかし、ヒトでは明確なGymnema sylvestreの投与試験は見当たらなく、若干の複合抗肥満サプリメントとしての報告がありますが臨床試験での抗肥満効果は明確になっていません。

4) 難消化デキストリン(Indigestible dextrin)
とうもろこしの澱粉分解物からつくられた難消化性デキストリンが食品やサプリメント素材として流通しています。ヒトの消化管は自力では難消化性デキストリンを消化できないが、大腸内の腸内細菌が嫌気発酵することによって、一部が酪酸やプロピオン酸のような短鎖脂肪酸に変換されて一部はエネルギー源として吸収されます。
Indigestible dextrinの抗肥満効果に関する研究報告はほとんどが日本の報告であり、動物試験で、ヒトを用いた研究結果(PubMed)は見つかりません。海外では難消化性デキストリンはレジスタント・スターチ(Resistant starches)として論文に登場します。動物試験は数多く報告されています。また小規模なヒトを用いた研究が報告されています。
難消化デキストリン(Indigestible dextrin)やレジスタント・スターチ(resistant starch)が抗肥満効果を生むであろうと期待される効果は
i) 低カロリーでありながら満腹感をあたえる。
ii) 難消化性デキストリンは粘度の高い溶液をつくり、胃から小腸への食物の移行を緩やかにする。また、拡散阻害作用、吸水・膨潤作用、吸着作用などがあり、摂取した食物は胃で消化され、緩やかに移行し、吸着され、吸収速度が緩慢となる結果糖や脂質の吸収速度を落として、急激な血糖値やインスリン値を上げない。
iii) 腸内細菌に利用され、短鎖脂肪酸を生み、短鎖脂肪酸産生が神経又は腸管ホルモン分泌の変化による食欲抑制を誘導する。これが抗肥満作用に結び付く。
理屈上は抗肥満効果を期待できますが、実際のヒトを用いた大規模な抗肥満効果に関する研究報告は見当たりません。臨床的に食後血糖値の改善は報告があります。

5) 桑(Morus sp.)の葉、イミノシュガーIminosugar
桑の葉に含まれるイミノシュガーIminosugarである、DNJ (1-デオキシノジリマイシン)はαグリコシダーゼ阻害作用により、糖の吸収を抑えて血糖値を抑制してインスリン分泌を抑える効能があります。一方、脂肪組織において、抗炎症作用を示し、脂肪組織の状態を改善、脂肪燃焼を促進します。しかし、臨床試験での抗肥満効果の報告はありませんが、食後血糖値抑制作用が報告されています。

6) 白インゲン豆(white kidney bean)、ファセオラミン
白インゲンに含まれるレクチンの一種ファセオラミンがデンプンなど糖質を消化し吸収しやすくするアミラーゼ分解酵素の働きを阻害して食事の栄養を消化吸収することを妨げます。ファセオラミン自体はアメリカ合衆国でダイエット目的や糖尿病患者のための健康食品として販売されています。しかし、白インゲンに含まれるある種類のレクチンが健康被害を引き起こすことが知られています。レクチンは軽い加熱で失活するが、ファセオラミンはある程度加熱しないと失活しません。商品における<レクチンを失活又は除去して、ファセオラミンの活性を残す処理>を確認する必要があります。
臨床試験における白インゲン(Phaseolus vulgaris L.)豆抽出物の抗肥満効果および血糖値改善効果が幾つか報告されています。

ここに述べた満腹感をあたえて、腸管からの糖吸収を抑制するサプリメントはいずれも臨床試験で血糖値改善効果は認められていますが、抗肥満効果は明確ではありません。これらサプリメントで直接体重を減らすことを期待せずに、間食による急激な血糖値上昇をおさえ、間食のデメリットを抑え込むことを期待するのがいいとも思います。無論、間食をしないことが一番ですが。

ノンカロリー清涼飲料摂取の抑制

肥満の方は暑さに弱い、いつも汗をかいていて、大量の水を飲むという印象があります。
清涼飲料、炭酸飲料、加糖飲料、缶ジュース、缶コーヒー等々、砂糖を含む飲料を多量に飲むと肥満になり易く、肥満の悪循環に陥るということはすでによく知られた事実になっています。海外では加糖飲料に課税してこれを制限しようとする動きもあります。

それならば、といってノンカロリー清涼飲料、例えばダイエットコーラを多量に飲んだ場合はどうなるか?

ノンカロリー甘味料が安全でないというレポートは2010~2014年あたりに数多く出されて、注目されました。一方ノンカロリー甘味料が安全だとお墨付きを与えた国家機関や研究機関、それにメーカーさんは当然ノンカロリー甘味料が安全でないというレポートを否定する反論を盛んに出してきました。このノンカロリー甘味料危険説の第一次期は一応沈静化されたように見えました。 
しかし、最近の甘味受容体の基礎研究から、ノンカロリー甘味料のシグナルが代謝に何らかの影響を与えているということは明白になってきました。問題はこれがどういう意味を持つのか? この新しい発見がノンカロリー甘味料への新しい肥満誘発説を生み出しました。これは以下の5つに分類されると思います。

甘やかしダイエット26

話が難しくなるので、詳しい説明は致しませんが、多くの危険説があることを認識してください。現状では危険説のYes/Noは論文上では結論が出ていません。しかし、ノンカロリー甘味料の危険説は第二ラウンドに入った感があります。

肥満になる方は肥満悪循環に陥りやすい人で、この肥満悪循環に陥りやすい人は、
水、甘味、カフェインを与えてくれるノンカロリー清涼飲料水依存症に陥りやすい。上述の内のいくつかのメカニズムで、ノンカロリー清涼飲料水依存症により摂取カロリーが増加する可能性が高い。ノンカロリー甘味料の危険説は白黒ついていませんが、筆者は肥満者あるいはその予備軍はノンカロリー清涼飲料水を避けるべきと思います。ダイエットに対する有効性が期待できる飲み物があります。ノンカロリー清涼飲料水から自分の好みに合ったお茶を探して切り替えてください。
お茶ダイエットとして知られているのは以下の通り、
緑茶
麦茶
鳩龍緑茶(きゅうろんりょくちゃ)
杜仲茶(とちゅうちゃ)
烏龍茶(ウーロンちゃ)
黒豆茶
ごぼう茶
ゴーヤ茶
桑の葉茶
緑茶は花王(株)の臨床試験報告がある(肥満の方が高カテキン緑茶を飲んでいれば、運動しなくてもダイエットになるように思わせる広告をしているが、それは臨床試験結果の拡大解釈のしすぎと筆者は考える)。それ以外のお茶はしっかりした臨床試験報告は見当たらない。はたして、これらのお茶を飲んでダイエットになるのかな?と考えずに、ノンカロリー清涼飲料水の肥満誘発危険性を回避するという目的でこれらのお茶に切り替えるということは推薦できます。

自分はどのタイプか? その3 運動障害が生み出す肥満

問題点6 運動できない:運動したくても筋肉が無い方筋肉に関連する肥満悪循環②(筋肉蓄積グリコーゲン減少)、③(筋肉減少による運動減少)に対抗するには

この肥満悪循環に対抗するには、筋肉を増加させる地道な方法をとるしかありません。運動が一番です。同時に必要な蛋白質をとらねばなりません。

甘いものは喜んで食べるが、食が細くて蛋白質が十分摂れない方や、筋肉が弱くて運動するのが苦痛だという方、高齢者に多いと思いますが、こういう方には筋肉形成を手助けするであろうサプリメントをご紹介します。

1) イミダゾールペプチド
イミダゾールペプチドは2種のアミノ酸(ヒスチジンあるいはメチルヒスチジンとβアラニン)の結合体であるジペプチド(具体的な名称はカルノシン、アンセリン、バレニン等)の総称です。
蛋白質の分解物あるいはフリーの形で取り込まれたアミノ酸、ヒスチジンとβアラニンからイミダゾールペプチドが体内で合成されます。一方、動物や魚の肉には蛋白質以外にイミダゾールペプチドが含まれています。イミダゾールペプチドの形でとりこまれたものは一旦分解され、ヒスチジンとβアラニンとなって、再び体内でイミダゾールペプチドが作られます。
よってヒスチジン、βアラニン、カルノシン、アンセリンのいずれを摂取してもイミダゾールペプチドの効果は得られると思うのですが、くわしい理由は省きますが、サプリメントとしてはイミダゾールペプチドとして摂取するのが一番いいと思います。
しかし、イミダゾールペプチドとして販売されているイミダゾールペプチド・サプリメントは鶏肉、魚肉などからの抽出物でイミダゾールペプチド(アンセリン、カルノシン)を多く含むペプチド混合物で結局のところアミノ酸や蛋白質その他の成分も少なからず共存すると思われます。

筋肉内でイミダゾールペプチドはpHのバッファーとして働き、抗疲労作用が証明されています。高度に筋肉を使うマグロのような回遊魚や渡り鳥の筋肉に多く含まれることが知られています。よって、イミダゾールペプチドは筋肉合成の原料であるロイシンやHMBの働きとは違って、運動による筋肉作りをサポートしようというもので、全く運動しない人には意味がない。運動してもめげない為のサプリという位置付けです。しかし、実際にサプリメントとして市販されているものは、その作り方からいって結果的に、イミダゾールペプチド以外に様々なアミノ酸やペプチドを含みますし、意図的に筋肉合成原料を含むサプリメントも多く販売されています。よって、運動しない人には全く意味ないとは言えませんが、趣旨からいって、イミダゾールペプチドは運動サポート用サプリメントと考えましょう。

2) ロイシン/分岐鎖アミノ酸(BCAA)
筋肉増強あるいは減少抑制という意味で、ロイシン単独あるいはBCAA (ロイシン、イソロイシン、バリンの3種の分岐鎖アミノ酸の意味)補充が研究されています。 筋肉増強は基礎代謝を上げて、抗肥満効果が期待できます。ロイシン単独よりBCAAの筋肉減少抑制効果があるという報告が多い。いずれにせよ運動とリンクさせた抗肥満サプリメントと考えることが必要と思います。
単純に筋肉を作るための十分蛋白質を摂ることは無論、蛋白質の原料を与える意味でホエーのような蛋白質サプリメントで十分と思われますが、BCAAを用いるのは特別なメリットがあるという考えがあります。BCAAは筋肉原料だけでなく、直接に蛋白質合成促進シグナル/蛋白質分解抑制シグナルのような積極的な生理活性シグナルを待っている物質である、あるいは筋肉痛減少効果をもっているという報告があります。しかし、抗肥満効果という点でこの生理活性シグナルが直接メリットがあるか否かは明確ではありません。
BCAA、3種の分岐鎖アミノ酸は体内バランスが調節されているので、一種を大量に撮るより3種を同時に摂る方が有効であるという説と、それぞれが違った生理的シグナルを持つために3種同時に摂った方がいいという説があります。筆者はどうせサプリメントとして摂るならそれぞれの生理的シグナルを期待してBCAAを摂ることを推薦します。

3) HMB (3-ヒドロキシイソ吉草酸)
HMBは必須アミノ酸であるロイシンの代謝中間体のひとつで、人体は一日あたり0.2-0.4グラムのHMBを産生しているとされています。 体内でのHMB生成経路は2つあるものの体内ではおよそ5-10%しか変換されないので、HMBを充足するには多量のロイシンを摂取する必要が出て来ます。 
HMB-CoAはHMG-CoAに変換されコレステロール合成促進による筋鞘安定化の働きを持ちます。また、HMBはタンパク質の分解抑制、筋肉量の増加、筋肉減少の抑制、筋肉の修復、耐久性増加を助ける可能性があります。70歳代の老人においてHMB投与により筋肉量の増加や体脂肪減少が報告されています。
ロイシンは主として筋肉の原料、HMBは筋肉原料ではなく、筋肉崩壊抑制という役割の違いがあると考えてください。

以上より、イミダゾールペプチド、BCAA、HMBの使い方として、
i) まだバリバリ体を動かせるし、肉も魚もどんどん食べるという方で、もっと元気に体を動かしましょうという方はイミダゾールペプチドを。
ii) 食は細くなり、それでも何とか頑張って運動を増やしてゆこうという方にはBCAAを。
iii) 高齢者において、筋肉減少の悪循環に陥ってしまった、ヨレヨレだという方にはHMBで筋崩壊抑制に、またはバリバリスポーツする方ですでに筋肉増強の方法を手にいれている方がアドオンとしてより筋肉を付けるためにHMBを。
という使い方ではないかなと思います。

イミダゾールペプチドは肉から抽出した混合物で、極端に言えば<フリカケ>のような天然物。どれだけ有効成分イミダゾールペプチドが、有効な形で含まれているかが重要です。
BCAAはアミノ酸のミックスでそれぞれ発酵で作り、純化した物質のミックスで<味の素>なみの天然物といえます。純品が使われており、安定した物質ですから問題ないはずです。
HMBは一般医薬品同様に合成で作られ、精製された合成品。よって、HMBは不純物が多く含まれる粗悪品に注意が必要です。

以上、筋肉作りの為のサプリメントを紹介いたしました。
肥満悪循環②(グリコーゲン減少)、悪循環③(筋肉減少)の元々の原因は脂肪細組織の炎症にあります。抗炎症タイプのサプリメントが有効です。抗炎症タイプ・サプリメントについては肥満悪循環⑤(食欲中枢異常)、悪循環⑥(肝臓異常)、悪循環⑦(脂肪組織変質)を参照ください。
ここでは、特に筋肉にゆかりのある抗炎症タイプ・サプリメントを2つご紹介します。

4) カルニチン
カルニチン(carnitine)は、生体の脂質代謝に関与するビタミン様物質で、アミノ酸から生合成される誘導体です。体内でアミノ酸(L-リジンとL-メチオニン)から生合成されますが、カルニチンは大半は食物から摂取されます。赤身の肉、魚肉、鶏肉、牛乳などの動物性食品に豊富に含まれていて、通常、肉の色が赤ければ赤いほど、カルニチン含有量が高くなります。乳製品では、カルニチンは主にホエー画分に含まれます。
カルニチンは、生体内で脂質を燃焼してエネルギーを産生する際に、脂肪酸を燃焼の場であるミトコンドリア内部に運搬する役割を担っており、その後脂肪酸は酸化されてエネルギーに転換されます。摂取する脂肪の多くは長鎖脂肪酸であり、長鎖脂肪酸はカルニチンが無いとミトコンドリアに取り込まれて燃焼することができません。体内のL-カルニチンは、加齢に伴う生合成能の低下および食事量の減少により、高齢になるほど筋肉中のL-カルニチン濃度が低下します。高齢者に限らず、若いかたでもL-カルニチン不足が懸念されています。カルニチン投与により、脂肪燃焼が促進する事、肥満者の体重、BMIを低下させる報告が多くあります。肝臓における酸化ストレスを抑える効果も報告されています。
 ダイエットによりカロリー制限をおこなっている方がカルニチン不足で、かえって脂肪燃焼が低下する可能性がありますから、カルニチン・サプリメントは有効でしょう。カルニチンがなぜ赤身肉に多いか? もっとも運動の激しい筋肉はもっともエネルギーを使います。そこでカルニチンが必要なのです。運動しても筋肉の付かない方は、カルニチンを適切に補う手段が身についていない方かもしれません。例えば、赤身肉きらいとか。

ところが、カルニチンを摂取すると腸内細菌の働きによってトリメチルアラニン(TMA)という物質が生まれ、それがさらに肝臓で代謝されて、トリメチルアラニン-N-オキサイド(TMAO)という物質が生まれます。このTMAOには、コレステロールの組織からの抜き取り能力を低下させ、コレステロールの組織への蓄積を増加させて、結果として動脈硬化を促進する働きのあるという報告が出てきました。
少なくとも、運動せずに赤身肉ばかり食べたり、カルニチン・サプリメントを過剰に摂ることは避けた方がいいようです。
運動しても筋肉がいっこうに付かない方はカルニチン・サプリメントを一考してもいいと思います。

5) L-βアミノイソ酪酸 β-Aminoisobutyric acid (L-BAIBA)
核酸塩基の代謝産物として尿中に排出されることで知られていましたが、最近、筋肉活動により放出される低分子ホルモン(ミヨカイン)としてその生理作用が注目されるようになりました。生理作用のなかでも脂肪細胞の褐色化を促進することが抗肥満効果につながる。その他肝の脂肪燃焼促進や脂肪細胞からのレプチン分泌促進細胞作用、脂肪細胞での抗炎症作用等が報告されています。運動により、筋肉からのL-βアミノイソ酪酸放出が増加して抗肥満につながることが重要な意味を持つ可能性が示唆されています。L-βアミノイソ酪酸投与による動物試験での抗肥満効果の報告はありますが、臨床試験の報告はまだありません。(PubMedレベル)
L-βアミノイソ酪酸は抗肥満効果ばかりでなく骨粗しょう症を防止する可能性が報告されています(肥満悪循環⑨骨減少 で述べます)。
L-βアミノイソ酪酸は骨格筋の運動によりL-バリンより生成します。まだ十分な研究が進んでいませんが、BCAA中のL-バリンの意義、運動してBCAAを摂取する意義が証明されるかもしれません。いずれにせよL-βアミノイソ酪酸は今後の注目の物質です。しかし、残念ながら現在はL-βアミノイソ酪酸・サプリメントを見つけることが出来ませんでした。今のところは運動してBCAAを摂取することに期待するということでしょうか。

なぜ、このような中枢の糖摂取要求がおきてしまうのか、その根本原因をつねに頭に描いて、筋肉作りに励むべきです。

肥満悪循環⑨(骨/関節障害)に対応するには
これまで肥満悪循環②グリコーゲン減少、③筋肉減少、⑥肝臓異常、⑦脂肪組織変質、⑨骨減少 で述べてきた抗炎症作用を持つ抗肥満サプリメントが有効であることは明白ですが、骨の健康を維持するためのサプリメントも有効と思われます。

1) MBP
MBP(milk basic protein)に関しては雪印乳業株式会社Snow Brand Milk Products Co Ltd(現在は雪印メグミルク株式会社)が頑張って研究を続けています。MBPは牛乳ホエイ蛋白質の一部(塩基性画分)で、多くの蛋白質の混合物です。骨は骨を壊しながら骨再構築してゆくことで、その機能が保たれているのですが、MBPは ①骨形成促進あるいは骨芽細胞分化増殖促進:骨の細胞に働きかけてカルシウムが骨に付着しやすくする ②骨再吸収(骨を溶かす)抑制あるいは破骨細胞抑制:カルシウムが過剰に溶け出すのを防ぐとされています。②はMBP中の破骨細胞を抑制する成分としてangiogenin 及びlactoperoxidaseが同定されています。蛋白質ですから腸管で分解されてしまうはずですが、雪印の研究では、angiogeninは分解されずにそのままの形で吸収されて、血中に入るという報告を出しています。しかし、一方で、MBP成分は腸管で分解されても、その分解物は元の蛋白質と同じ働きをするとも説明しています。異種蛋白質がそのまま吸収されて血中をウロウロするというのは考えにくく、おそらく分解された活性ペプチドが吸収されて、直接あるいは間接的に骨形成に関与すると考えた方がいいと思います。蛋白質を経口投与する場合は、ラクトフェリンもそうですが、いつもそのまま吸収されるのか、フラグメントが吸収されるのか、そのフラグメントが直接作用するのか、間接的に作用するのかよくわからないまま商品が先行しています。消費者としては、ちゃんと研究を続けてはっきりさせてほしいと思います。動物試験でもヒト試験(閉経後女性対象)でも、MBPが骨密度を改善することが報告されています。

2) CPP
CPP(カゼインホスホペプチド)は牛乳の主要タンパク質であるカゼインに酵素を作用させて得られる部分分解物です。カルシウム(Ca)を溶けやすい状態に保ち、小腸からのCaの吸収を助けます。

3) カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK
これらは骨形成に必要な栄養成分であることがしられており、種々のサプリメントが存在する。これら栄養成分が不足すれば、骨形成が阻害されることはたしかです。

カルシウム
米国で行われた調査によってこのほど、「摂取を控えるべきサプリメント」のリストに新たにカルシムが加わりました。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校とジョンズ・ホプキンズ大学の研究者らが10月に米国心臓協会(AHA)の「米国心臓協会ジャーナル」で発表した論文によれば、サプリメントによるカルシウムの過剰摂取は動脈の石灰化を促し、心臓病のリスクを高めるという。冠静脈の石灰化は、心臓発作その他の命に係わる病気と深く関連しています。

ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、カルシウムが骨に沈着するのを助けます。日常的に食べるものでしっかりビタミンDを摂取できるものは「魚」です。日本人はビタミンDの9割を魚からとっています。また日光にあたることで皮膚でも合成されます。
しかし、ビタミンD過剰摂取は高カルシウム血症をまねき、心臓病へつながります。

ビタミンK
ビタミンKは吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助けるとされています。骨の健康に不可欠なビタミンなんです。ほうれんそうなどの緑色の濃い野菜や納豆に特に多く含まれます。臨床的に大量のビタミンK投与が骨粗しょう症を改善する報告がありますが、通常、ビタミンKが不足する可能性は低く、サプリメントの意義は低いと思われます。

4) 軟骨成分、グルコサミンおよびプロテオグリカン
動物のプロテオグリカンは、コラーゲンやヒアルロン酸とマトリックスを作ることで軟骨を含む身体組織や皮膚組織を維持している。動物のプロテオグリカンはいくつかのグリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸など)から成り立つ。
グルコサミンは、軟骨の成分「ヒアルロン酸」を構成する2種類の糖のうちの1つです。

これら軟骨成分、グルコサミン、プロテオグリカン、コラーゲンおよびそれらの分解物を経口投与または関節内注射により、関節障害(関節炎や関節痛など)を治療する試みが行われています。ヒアルロン酸の関節内注射は関節液の粘り気や弾力性が一時的に回復します。その結果、ひざの痛みが改善するのです。しかし、ヒアルロン酸注射の効果は短期的であり、決して長期間は続きません。
ここではサプリメントに関する話ですから、経口投与に関して述べます。

グルコサミン硫酸、コンドロイチン硫酸などの長期経口投与が関節炎に有効かという議論は延々とつづいています。多少の効果はあるという研究から、効果無し、報告によってはかえって関節にとって有害と言う報告まであります。
最近の日本の報告では、株式会社シャルレと白澤抗加齢医学研究所によるNアセチルグルコサミンとプロテオグリカンを含むサプリメントの少数関節障害者投与による臨床試験が報告されています。歩行運動における関節機能や痛みの改善がみられたとあります。

これらの軟骨成分の関節内注射においてですら、これら成分の一時的効果が直性作用か、間接的効果であるかが明確でない。ましてやこれらの経口投与の効果とそのメカニズムは明確でない。しかし、関節炎治療に通常使われる非ステロイド性抗炎症薬が痛みの軽減にあまり効かない現状から、これを副作用少ない変形性関節症治療用遅効性薬(SYSADOA)(グルコサミン硫酸、コンドロイチン硫酸など)に置き換えてゆく方向がいいのではないかという考え方が広がりつつあります。

5) 枯草菌C-3102株
カルピス株式会社はアサヒグループホールディングス株式会社の傘下にはいりました、カルピス㈱は枯草菌C-3102株摂取による骨密度上昇を報告しています。
枯草菌(Bacillus subtilis) C-3102の経口投与により健常閉経後女性の骨密度を上昇させました。破骨細胞の活動をおさえ骨吸収を抑制しました。そのメカニズムとして、腸内細菌のパターンを変えて、炎症性サイトカインを低下させることによると推定しています。

6) L-βアミノイソ酪酸
L-βアミノイソ酪酸は筋肉活動により骨格筋から放出される低分子ホルモンで、脂肪組織の褐色化により高肥満作用を持つことは前述しましたが、最近L-βアミノイソ酪酸は骨細胞生存因子であるという報告が発表されました。骨粗しょう症予防のために運動が有効であるメカニズムの説明となるかもしれません。前述しましたが、L-βアミノイソ酪酸は骨格筋の運動により分岐鎖アミノ酸L-バリンより生成します。残念ながら現在はL-βアミノイソ酪酸・サプリメントを見つけることが出来ません。今のところは運動してBCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取することに期待するということでしょうか(BCAAやバリン投与が骨粗しょう症に有効という報告は今のところありません)。

自分はどのタイプか? その4 眠い方へ

問題点7眠い:自分が、いくら寝てもいつも眠いと感じている方へ
肥満悪循環⑧(睡眠障害)に対応するには

ダイエット3原則における、運動量アップと生活リズムの一定化は睡眠障害に有効です。生活リズムの一定化により、起きる時間、寝る時間のタイミングが日内リズムとして固定化してゆきます。生活環境の変化にこの日内リズムの固定化が助けてくれます。さらに、
睡眠サポートサプリメントとして以下のものがあります。

1) グリシン(glycine)
アミノ酸、グリシンは味の素㈱がその睡眠改善効果を発見し、研究を続けて販売にいたっています。グリシンの摂取により、中枢が反応して、末梢血流が増加し熱放散を促し、睡眠と関係が深い「深部体温」が低下して、睡眠の質が向上することが示唆されています。 ヒトに対する睡眠改善高価は、英語による日本の学会誌sleep and biological rhythms に報告されています。

2) ギャバ(GABA)
GABAはアミノ酸の一種、γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)です。GABAは神経中枢で働く抑制系の代表的な神経伝達物資です。脳や脊髄でドーパミンなどの興奮系の神経伝達物質の過剰分泌をおさえ、興奮を沈めたり、リラックスをもたらします。
株式会社ファーマフーズ及びその他の機関による小規模な人を対象とした試験でGABA経口投与が睡眠を改善する報告があります。

3) テアニン(L-Theanine)
テアニン(L-Theanine)は、茶に多量に含まれるアミノ酸の一種でグルタミン酸の誘導体。ティアニン摂取入力よるリラックス効果や睡眠改善効果が報告されています。そのメカニズムははっきりしませんが、GABAの効果を増強すると考えられています。抗炎症作用および抗酸化作用も報告されている点は抗肥満に有利と思われます。小規模な人を対象とした試験でティアニン経口投与が睡眠を改善する報告があります。GABAとティアニンをミックスした睡眠改善サプリメントも少なくありません。

4) バレリアン(Valerian)
セイヨウカノコソウ (Valeriana officinalis)のことで、根や茎を不眠症や不安抑制に効果がある薬草として用いられている。有効成分は特定のされていない。GABA作用を増強するという説がある。臨床試験では否定的報告も少なくないが、メタ解析で睡眠改善に有効であろうと結論しています。

5) クワン草(Kwan Grass)
沖縄で深い休息を目的として葉を食していた、伝統野菜です。クワン草の睡眠改善物質として特殊アミノ酸、オキシピナタニン(Oxypinnatanine)が同定されました。クワン草のパウダーおよびそれに抽出したオキシピナタニンを強化したサプリメントがあります。
Kwan Grass, OxypinnatanineいずれのキーワードもPubMedには登録されておらず、これらの世界レベルでの認知はこれからと思われます。Oxypinnatanineの動物試験による効果(Oxypinnatanine 投与によるnon-REM睡眠の増加)は英語による日本の学会誌sleep and biological rhythms に報告されています。
6) ラフマ(Luo-bu-ma)Apocynum venetum, ヒペロシト(hyperoside) イソクエルシトリン(isoquercitrin)
ハーブ、ラフマ(Luo-bu-ma) Apocynum venetum L. 由来ヒペロシド(hyperoside)およびイソクエルシトリン(isoquercitrin)は、睡眠の質の向上をサポートすることが報告されています。睡眠誘導ホルモン,uメラトニン」の元となるセロトニンを増加させるという報告があります。またいずれの物質も抗炎症作用、抗酸化作用が報告されています。Apocynum venetumの葉の抽出物の小規模な人を対象とした試験で経口投与が睡眠を改善する報告があります。

自分はどのタイプか? その5 毎日ストレスにあえいでいる方へ

問題点3ストレス:仕事はきつい、食べることと、ごろ寝してテレビをみることしか楽しみがない方へ
肥満悪循環④(ストレスによる肥満)に対応するには

「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50 人以上いる事業所では、2015 年12 月から、毎年1回、ストレスチェックを全ての労働者に対して実施することが義務付けられました。「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。この法律が示すように職場のメンタルヘルスが注目されています。ストレスのチェック法およびストレスに対応する方法は多くの研究や情報が存在します。それら情報を調査して、考察し、まとめるには多くの時間が必要です。また、筆者の得意分野ではなく、ストレス対応法を書く自信がありません。みなさん各自で納得いく対応法を探してください。
しかし、ダイエットを志したら、どうしても自分のストレスと対決しなければいけないのです。筆者の経験の範囲で、頑張ってストレス対応法を書きましょう。お役に立てば幸いです。

ストレスが無い人間はまず存在しない、ストレスは生きている証であります。ストレスの大きい人、小さい人、ストレスに対する感受性が高い人、低い人さまざまです。
i) ストレスは必ずあるので、ストレスに対抗する方法をその人なりに見つけ出すことが、生きてゆく上での必須事項です。
ii) ストレスから逃れる方法をここで述べることは難しい、人により様々だからです。
ただこれだけは言えるのは、ストレス解消法として、<食べること>をもちいることだけは避けましょう。
iii) もう一つ強調したいのですが、
ダイエット3原則の中の1、運動量アップ、3、生活リズムの一定化はストレス対応策となります。ダイエット3原則に従って、ウォーキングすること。これを習慣にして気分に関係なく毎日実行すること、つまり生活のリズムの一定化。ウォーキングを含む運動はストレスの原因から離れて、ストレスから脱する助けになります。生活のリズムを一定化しておけば、そのロバスト性から一時的ストレスの上昇による行動低下、睡眠の質、量の低下に直結することを避けられます。
iv) ダイエット3原則を実行できない理由がストレスそのものであると主張する方は少なくないでしょう。すこしずつでもダイエット3原則に近づくための方法、後述のアクティブ・レストの勧めをご覧ください。

さて、ストレス対処法は大きく分けて3つあります。
1) 前述のようにダイエット3原則に従って、ウォーキングすること。これを習慣にして気分に関係なく毎日実行すること、つまり生活のリズムの一定化。これだけは基本にしていただくために繰り返します。
2) 毎日を他人との比較のなかで生活しないこと。自分の目標を定めて、この目標と現実の間で事を考えること。他人との比較の中でしか生きられない方が一番ストレスフルな人生を送ると思います。自分には目標がないのだと悩む方は大いに悩めばいい。決して、同じような境遇なのに、なぜあの人は幸せそうにしているのだなどと他人との比較を不満の対象としないように。これをやっていると永遠に不満はなくなりません。
見方をかえると、他人との比較のなかで生活しているということは、生活に対する本当の緊迫性が無い、ぬるい生活をしているということです。

3) ストレスをシャットダウンする心の持ち方を考え出すこと。たとえば、いかんともしがたい後悔することなどはすぐ忘れる。ストレスが自分の体のある部分、たとえば肩とか胃とかを攻撃し続ける場合、意図的に心の中でこれをシャットダウンする。これは自律神経失調症の治療法として認められている、自律訓練法に相当します。自律訓練法とは自分で自己暗示をかけて心身の緊張状態を緩和する治療法です。これは筆者おすすめの方法ですが、ではいかに意図的にストレスを心で遮断するか? 心で悩んでもなにも得しない、自分をもう一つ上から俯瞰的に眺める自分から、得にならないことは止めようと眼下の自分に念力を集中するのです。

対人関係の対処法は、他人との関係を自分と他人という閉鎖した関係とは考えないように努めることです。自分の目的は何かを確立し、その目的の側面から他人との関係をとらえる。自分の目的に役立つ他人の行動部分にだけ対応する。あとは関係を最小とする。あいつは自分より優れているとか、自分の方が優れているとか考えるからストレスが生まれる。他人との優劣でなく、自分の目的にどれだけ進めるかに注目する。
夫婦間で共通の目的、子供とか家庭とかでトラブルがあるとこの方式が使いにくい。この時はしょうがない、もう一つの小さな別の目的をもって、賢く息抜きするしかありません。

甘やかしダイエット27

仕事におけるストレス対処法も同様です。自分と仕事の閉鎖的関係で物事を考えないようにする。自分の目的を確立し、現在の仕事がそれにどのように役立っているかを考えるようにすることです。その目的に仕事が貢献していなければやめるしかない。お金を得ることが目的なら、それ以外には気をつかわないこと。それでもどうしてもその目的において、仕事とバッティングするなら、しかたありません。その仕事とは別の小さな目的を作って賢く息抜きするしかありません。
これはあくまで、肥満対応のためのストレス対応から述べているだけで、人生論ではありません。別の小さな目的でも、ストレス対応としては重要なのです。賢くストレスに対応しましょう。心配事で眠れない時も、意図的に他の事、例えば趣味のことを考えるようにすると眠れるのです。

甘やかしダイエット28

追加:
余計なことですが、
筆者がバイオベンチャーを運営していた時のストレス解消法を書きます。
i) 経営は常に決断の連続です。しかし、過去の決断が良い結果にならなくても、一切過去の決断を悔やまない。すぐ次なる解決法を見つけて、淡々と実行する。常に前を見る
ii) 基本は<決して諦めない>ことですが、どうやっても勝ち目無い時、解決法がどうしても見つからない時は、すっぱり諦める。命がけで考えれば、引き時は見える。そしていやなことは即忘れる
この時はストレス解消法というよりは、生きることを維持する為の方策でした。

書きたくないといいながら、ずいぶん書いてしまいました。それだけヒトの心は難しいのです。ダイエットを志したら、どうしても自分のストレスと対決しなければいけないのです。

ストレスを解消する観点からのサプリメントは以下の様になります。
i) 睡眠質、量を得るサプリメント
これは肥満悪循環⑧(睡眠障害)を参考にしてください。
ii) 精神的安定を得るサプリメント
クワン草などii)はi)とオーバーラップすることが多い。
1)セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ):これに関してはNational Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH), の5 Tips: What You Should Know About the Science Behind Depression and Complementary Health Approachesの記述を紹介することがいいでしょう。<セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)は、何世紀もの間、精神状態を安定させるために用いられてきた野生植物で、ヨーロッパでは抑うつ症状に対して広く処方されています。しかし現在のところ、抑うつにセイヨウオトギリソウを使う決定的な根拠はなく、重篤な副作用が起こる可能性もあります。セイヨウオトギリソウによる抑うつ治療は米国民の関心を引くところではありますが、食品医薬品局(FDA)[米国]は抑うつに対する使用を市販薬としても処方薬としても承認していないという点に留意すべきです。>
しかし、セントジョーンズワートの精神状態を安定させる効果を示す臨床試験報告も少なくありません。いずれにせよサプリメントは<気は心>です。上記を留意の上、お試しください。

2)GABA含有食品
江崎グリコ(株)や(株)ファーマフーズはGABA経口摂取によるストレス軽減効果・臨床試験を報告しています。江崎グリコ(株)は高GABA含有チョコレートをファーマフーズはGABA高生産乳酸菌による高GABA含有発酵エキスを商品としており、ファーマフーズの高GABA含有発酵エキスを原料の一つとして(株)プロトンのサプリメントGABAXが発売されています。GABAは発芽玄米、トマト、ナス、アスパラガス、カボチャ、キュウリ、メロン、ミカン等に多く含まれます。特に発芽玄米をGABA高生産乳酸菌により発酵させた発酵GABAサプリメントがいくつか発売されています。

3)C23ガセリ菌
加熱不活化Lactobacillus gasseri CP2305投与により睡眠の質改善とストレス軽減作用の臨床報告を元カルピス(株)/アサヒ・ホールディング(株)が報告しています。メカニズムとしては自律神経の正常化が示されています。カルピス・ココカラケア C23ガセリ菌などの商品名で発売されています。

4)エゾウコギ(アイヌ民族の民間薬)、カミツレエキス(カモミール/ハーブティー)、クワン草(沖縄伝統野菜、睡眠改善効果は前出)などの抗ストレス効果が利用されています。

iii) 精神的安定を与えるアロマ
多種の精神安定を与えるアロマが知られています。イラン・イラン、オレンジ、ローマン・カモミール、カルダモン、クラリセージ、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジャスミン、ジコンバー、ゼラニウム、ティートリー、ネロリ、パイン、パチュリー、フランキンセンス、ブラックペッパー、ペパーミント、ベルガモン、ベンゾイル、マージョラム、ミルラ、メリッサ、ユーカリ、ラベンダー、レモン、レモングラス、ローズウッド、ローズオットー、ローズマリー等々。これらの精神安定効果の臨床試験は数多く報告されている。その効果の立証は不完全ですが、これらが広く利用されていることは事実です。

自分はどのタイプか? その6 生活リズムが一定しない方へ

<問題点4不規則生活; 仕事の都合により、生活が不規則で、生活リズムの一定化なぞ考えられない>の方へ

高齢者や引退した方は、朝早起きすることは苦痛ではなく、むしろ早朝に目が覚めてこまるという方が少なくない。
問題は働く方々の中で生活リズムを一定させることができない方です。一定しない理由が、仕事上の外圧であろうが、過度の疲れによるものであろうが、一つの解決法は、どうせ一日どこかで起きて、どこかで寝るなら、朝に勝負をかけることです。

人はその日一番大切なこと、一番やりたいことを朝一番に行う傾向があります。
働いている方は、朝の出勤時間が決まっていることが多いでしょう。
日内リズムを開始するのは朝の光です。

毎日の生活を朝に重点を置きましょう。

日内リズムの形成はまず朝の光ですが、光の循環が人工的に左右されることが多い現代では、食事が日内リズム形成に強く関与します。よって、
まず、<朝食しっかりダイエット>を検討してください。
規則的食事習慣は体内時計による身体の働きの同調を促進します。逆に体内時計の乱れは肥満につながることが分かっています。一定のタイミングで朝食をしっかりとることによって、一日の日内リズムをしっかりと開始しましょう。
朝食抜きが肥満につながるという多くの報告があります。その理由は、朝食抜きが一日の総摂食量を増加させるからと説明されています。一日の総摂食カロリーにおいて朝食に重点を置いた方がダイエットになるという報告も少なくありません
ただし、朝しっかり食べるのはダイエットに有効ですが、一日の総摂取カロリーが増加しては意味ないので、気を付けてください。
順天堂大学教授の小林弘幸先生が著者である<医者が考案した「長生きみそ汁」>2018年ベストセラーで、2019年も大変売れていますが、朝の味噌汁一杯は重要です。毎朝、自分で味噌汁を作るくらいの心の余裕を持ちたいものです。筆者は一日分に相当するくらいの野菜を毎朝摂っています。毎食に野菜を摂ることを分散したほうがいいのですが、働いている方は昼食、夕食は自分の思い通りにならない場合が多いので、朝に野菜摂取の大勢を決してしまうのです。野菜摂取の方法として味噌汁も毎朝活躍しています。朝食は自分でコントロールしやすいので、野菜に限らず、必要な蛋白質、ビタミン、ミネラル等朝に荷重を増やして、昼食、夕食における変動を吸収するようにしています。
朝食は最短時間で、簡単に済ませようという考えから、朝に一日の基盤を作ってしまおうという考え方に変えるのです。

自分はどのタイプか? その7 仕事で疲労して、ダイエット3原則を実行できないあるいは実行する気が起きない方へ

<問題点2疲労: 毎日仕事で疲れてしまって、運動なんて考えられない。ましてや土日は寝ていたい>
<問題点3ストレス: 仕事はきつい、食べることと、ごろ寝してテレビを見ることしか楽しみがない>
加えるに、<問題点5運動嫌い: 運動すること自体大嫌い>の方へ

1) アクティブ・レスト(積極休養)の勧め
アクティブ・レスト(積極休養)とは積極的に体を動かすことにより疲労回復効果を高める方法です。これに対して睡眠をとったり、家でゆっくりするなどの疲労回復法をパッシブ・レスト(消極的休養)といいます。家でテレビをみてゴロゴロするのは消極的休養の典型です。
アクティブ・レスト(積極休養)の具体例はストレッチ、軽い運動、ウォーキング/ジョギング、入浴、水泳などをおこなうことなのですが、どれくらいの運動量をやることをアクティブ・レストというかは決まっているわけではなく、あくまで積極的休養というコンセプト(考え方)です。
例として、筆者が推薦したいのは、仕事の昼休みを居眠りしたり、スマフォをいじったりして過ごさずに、15分でいいから外を散歩することです。これを毎日やることはダイエット3原則を実行する予行演習となると思うのです。消極休養から積極休養への心の入れ替えを小さなことから実行することです。大切なことは毎日の習慣とすることです。昼休みの15分のアクティブ・レストが習慣となった結果、ストレスの軽減とか、疲労の軽減とかを感じれば、帰りにも15分歩いてみようと進展するでしょう。
仕事の中にアクティブ・レスト(例えば、昼休み10分のフィットネス体操を週3回、10週間続ける)を組み込むと、仕事の効率が上る、人間関係が改善される、身体機能の向上、心の健康の改善の効果があるという研究報告が多数あります。ただし、ここで想定している軽度の運動によるアクティブ・レストで体重減少が得られると思ってはいけません。ストレス/疲労の軽減が目的であり、あくまでダイエット3原則に向けての初めの一歩です。

疲労軽減用サプリメントといえば、前述のイミダゾールペプチドですので、以下に繰り返します。

2) イミダゾールペプチド
イミダゾールペプチドは2種のアミノ酸(ヒスチジンあるいはメチルヒスチジンとβアラニン)の結合体であるジペプチド(具体的な名称はカルノシン、アンセリン、バレニン等)の総称です。
蛋白質の分解物あるいはフリーの形で取り込まれたアミノ酸、ヒスチジンとβアラニンからイミダゾールペプチドが体内で合成されます。一方、動物や魚の肉には蛋白質以外にイミダゾールペプチドが含まれています。イミダゾールペプチドの形でとりこまれたものは一旦分解され、ヒスチジンとβアラニンとなって、再び体内でイミダゾールペプチドが作られます。
よってヒスチジン、βアラニン、カルノシン、アンセリンのいずれを摂取してもイミダゾールペプチドの効果は得られると思うのですが、くわしい理由は省きますが、サプリメントとしてはイミダゾールペプチドとして摂取するのが一番いいと思います。
しかし、イミダゾールペプチドとして販売されているイミダゾールペプチド・サプリメントは鶏肉、魚肉などからの抽出物でイミダゾールペプチド(アンセリン、カルノシン)を多く含むペプチド混合物で結局のところアミノ酸や蛋白質その他の成分も少なからず共存すると思われます。

筋肉内でイミダゾールペプチドはpHのバッファーとして働き、抗疲労作用が証明されています。高度に筋肉を使うマグロのような回遊魚や渡り鳥の筋肉に多く含まれることが知られています。よって、イミダゾールペプチドは筋肉合成の原料であるロイシンやHMBの働きとは違って、運動による筋肉作りをサポートしようというもので、全く運動しない人には意味がない。運動してもめげない為のサプリという位置付けです。しかし、実際にサプリメントとして市販されているものは、その作り方からいって結果的に、イミダゾールペプチド以外に様々なアミノ酸やペプチドを含みますし、意図的に筋肉合成原料を含むサプリメントも多く販売されています。よって、運動しない人には全く意味ないとは言えませんが、趣旨からいって、イミダゾールペプチドは運動サポート用サプリメントと考えましょう。

サプリメントをどう利用するか?

1.肥満対策として、サプリメントをご紹介してきました。しかし、人は遺伝子的にも環境的にも様々です。食品であるサプリメントだけで肥満を解決することは期待しないほうがいい。どうしてもダイエット3原則の実行が必要です。ダイエット3原則は多くの方に適応出来るように工夫しています。

2.サプリメントの有効成分を多く含む食べ物を意図して摂取することは、無論有効です。何が自分に合った有効成分かを見つけるには、市販のサプリメントを試す方向から攻めるケースとサプリメントの有効成分を多く含む食べ物を意図して摂取する方向から攻めるケースが考えられます。前者ははっきりとした結論が得られるというメリットがあり、後者は自然の絶妙な配合にであうメリットが期待できます。<甘やかしダイエット>としては、楽しい方を推薦します。筆者としては自然の食べ物を摂取する方が楽しいと思いますが。

3.サプリメントを開発・販売している企業の中で、まじめに基礎研究や臨床試験を行っている企業が存在しています。宣伝のうまさに引きずられることなく、企業のまじめさを読み取って、その製品を選びましょう。
自ら基礎研究や臨床試験を行わないで、世の中の情報を混ぜ合わせて、うまいこと気を引く宣伝をする企業があります。また、自ら臨床試験を行っているところでも、わずかな人数による臨床試験や都合のいい対象者による臨床試験(例えば、肥満予備軍に対してのみ試験して、肥満の人にも有効であるかのような表現する)、都合のいいコンディションにおける臨床試験(例えば一定の運動スケジュールを組み込んで試験しておいて、 これを飲めば運動する必要はないと表現する)、試験結果を誇張して表現する(例えば、加齢によりDHAが不足するという事実のみからDHAがボケを防止すると表現する)これらの真実を読み取ることは至難の業です。臨床試験を載せているからといって信じないでください。本レポートは企業活動を邪魔する気はありませんので、特定の宣伝の真偽を論ずることはいたしません。目をこらして企業のまじめさを読み取ってください。

4.お医者さんや研究者の説はちゃんとした科学論文で議論すべきことです。ネットや本や新聞記事に書いていることは、医者や研究者だから正しいと思わないでください。目立ちたがり屋の研究者が、一方的に自分の研究を宣伝する場合が非常に多い。 だいたい研究者というのは自己顕示欲の塊と考えてください(無論すべての研究者とは言いません。そうしないと生き残れないという立場もあります)。また、先生は当たり障りのないことを言っているのを、企業が都合のいいようにモディファイして引用する場合もあります。最近増えているのは製薬会社が扱っているから信用しろという宣伝です。この分野は製薬会社が扱っているから信用しろという単純な話ではありません。だいたい食品/サプリメントの効果を証明する方が医薬よりずっと難しいのです。暗に製薬会社の方が食品・サプリメント専門会社より上だという情報操作をされると、筆者はその企業のまじめさ疑ってしまいます。

投稿日:2019年11月2日 更新日:

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